卒園アルバム制作のヒント
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2023.1.9
親子で楽しむ、日本新聞博物館と2022年報道写真展をレビュー
今回は、卒園アルバムをテーマにした内容から外れて、先日訪れた博物館のレビューをいたします。
訪問先は神奈川県横浜市にある「ニュースパーク:日本新聞博物館」です。
山下公園からほど近く、神奈川県庁や歴史的建造物が点在する日本大通りにあります。
お子様の体験学習やアートに触れる機会として、また横浜観光のひとつとしてぜひ訪れていただきたい博物館です。
- ニュースパークってどんなところ
- 子どもといっしょに博物館見学をしたい
- 横浜の観光情報が知りたい
- 写真やアートに触れて感性を磨きたい
目次
こんにちは、キッズドン!の宗川 玲子です。
今回は「はじめて」卒園アルバムから外れた内容の記事を書かせていただきます。
ご紹介するのは横浜市にある「ニュースパーク:日本新聞博物館」。
日刊新聞発祥の地として2000年に横浜市日本大通りにオープンしました。
2016年にリニュアルを経て、より美しい展示スペースとなり、多くの学校団体等にも利用されてる校外学習の場としても活用されています。
ニュースパークが掲げるコンセプト
ニュースパークのホームページの概要に次のような文面があります。
この文にも書かれてる「情報を見きわめる力が求められる」の一節が、そのまま「常設展示」の一つとなっています。
「情報の森」の中からいかに真実を見出すか、情報との関わり合いについて、そしてネットの検索だけでは表現できない事実の掘り起こしなどについてを大型パネルや、最新の端末で学ぶことができます。
企画展:2022年報道写真展
実は今回ニュースパークに足を運んだ理由は「2022年報道写真展」の閲覧が目的でした。
昨年12月中旬に東京日本橋三越本店で開催され、その機を逃したことに悔やんでいた所に横浜開催のお知らせ。
卒園アルバムで「写真」を扱う身としては、日頃からできる限り写真展の鑑賞に足を運んでおり、この催しは必見としていました。
この企画展については後ほど触れたいと思います。
ニュースパークを入り口からレビュー
それでは実際にどんな体験ができるかをレビューしたいと思います。
駅出口から直結
お勧めのアクセスは「みなとみらい線」の「日本大通り駅」下車です。
3番出口へのエスカレーターを上りきり、左手に折れるとそこが入り口。
正式には「横浜情報文化センター」の入り口となります。
このセンターにはニュースパーク以外に「放送ライブラリー」という施設が入っており、放送番組のアーカイブスを閲覧したり、放送の歴史を学んだり、テレビ放送のスイッチング、アナンサー体験などができる内容になっています。
巨大なモニュメントがお出迎え
エントランスで出迎えてくれるのが、上の写真の「輪転機のモニュメント」。
吹き抜け3階まであるこの巨大な輪転機は、1979年から1997年まで静岡新聞社で使われていた4ページの新聞を1時間に15万部印刷出来るそうです。
大人としては必見の展示物ですが、こどもの視点からだと、その圧倒的威圧感に怖ささえ感じるようです。
モニュメントの左にあるエスカレーターで2Fへ昇り、受付へと進みます。
受付とホール
受付で料金を払いホールへ進みます。料金は次のような設定です。
- 大人:400円
- 大学生:300円
- 高校生:200円
- 中学生以下:無料
2Fのこのホールで目に飛び込んでくるのは、新聞協会加盟の104紙の新聞展示。
横浜みなとみらいにある「カップヌードルミュージアム」での歴代商品の陳列を想起させるような、理路整然とした展示方法が、1枚の新聞をアートに変えています。
実はこの104枚の新聞壁画は、来場記念撮影の背景ともう一つ、ニュースパークならではのアトラクションに使用されています。
自分自身が新聞の一枠に
それは自分自身の写真が、新聞の一枠に掲載され、その新聞を記念にいただけるというものです。
スタッフの方に声をかけると、104紙の壁面をバックにして写真の撮影が行われます。
新聞はその枠以外は固定のテンプレートですが、こどもにとってはインパクトある嬉しいお土産。
この「マイ新聞作り」は、本来写真の掲載のほかに、自分で創作した90文字の文章を書いて載せることができます。
ですが、2023年1月現在、コロナ感染症対策として「文章創作」は割愛でした。
この新聞作りでの追加料金はありません。
その新聞を持って3Fの常設展示ホールにエスカレーターで上がります。
取材体験ゲーム
3F常設展示ホールでまず目に飛び込むのは「横浜市中心部」をモデルにした「大型ジオラマ」。
みなとみらいエリア、山下公園、中華街、横浜スタジアムなど、有名施設や地域はもちろん、その他のビルや生活空間まで正確な位置関係に立ち並ぶ姿は、ただただ見惚れます。
このジオラマは「取材体験ゲーム」というアトラクションに利用されており、1日10回の指定時間制で参加することができます。
-
- 所用時間:約20分
- 開始予定時刻:下記ニュースパークのサイトよりご確認ください
ゲーム内容
大枠での内容は「過去にタイムスリップして横浜の秘密を取材する」というものです。
まずはじめに「なんの秘密を取材するか」を3つのテーマから選択します。
- 1.横浜発展の秘密
- 2.日本大通りの秘密(この施設のある地域)
- 3.山下公園の秘密
1つを選ぶとスタッフから専用タブレットが手渡され、一通りの解説が行われます。
タブレットをジオラマにかざすと…
タブレットをジオラマの中心にそびえる時計塔にかざすと、画面上にタイムマシンが現れ、ペリー来航の1854年にタイムスリップ。
タブレットに登場する「先輩」とされるキャラクターが「村人などの登場人物と会話をし、クイズなどに答えながら取材ネタを集めて」とミッションを与えてきます。
横浜の海上に停泊する黒船を見てざわつく村人や、既に上陸したペリー一行の一員などとインタラクティブに会話を進めて、少しづつ取材を固めていきます。
タブレットに表示される文章には「ふりがな」があり、簡単な文章構成なため小学生一年生でも、ほぼ理解できる内容です。
取材内容が新聞に
一通りの取材が終わると、スタッフの方から「日本人視点の新聞にするか」「ペリー一行視点の新聞にするか」の選択を問われます。
「誰の視点での報道なのかを明確にする」というジャーナリズムの要素がここに入り、単なるゲームに終わらない所に感心します。
今回はペリー一行の視点での取材を選ぶと、その取材内容がテーマとなった新聞が発行されるというのが、このゲームのフィニッシュです。
新聞はもちろん記念として持ち帰ることができます。
ちなみに新聞の裏は日本大通り地域のマップになっています。
新聞配達ゲーム
この展示ホールにはもう一つゲームがあります。
それは新聞配達の擬似体験ゲーム… というほど大袈裟なものではありませんが、自転車をこいで画面上の道を進み、新聞をポスティングするというものです。
自転車を進めると左右の家のポストから「ここに配達」というマークが現れます。
うまくそのポストの前で止めてボタンを押し、タイムアップまでいくつの新聞を配ることができたかを競うという内容です。
ゲーム自体の性能もありますが、うまくポストの前にたどりつけず、思いのほか難しい!
混雑してる時は恐らく一回限りの挑戦で終わりとなるでしょうが、すいてる場合、意地でも全てのポスティングを成功させたくなり、何回も自転車をこいでしまうという、不思議なゲームです。
新聞のあゆみゾーン
アトラクションを終えて奥の展示室に足を踏み入れます。
そこには明治大正時代、戦時中、戦後、現代などの貴重なアーカイブスが並び、その時代を今に伝えています。
明治時代の新聞に写真はなく、精巧に書かれた絵に引きつけられます。
見たことのない紙面構成
現代に至っては、いわゆる「ビッグニュース」の新聞一面が並びます。
印象的なのは、その紙面構成です。
昭和天皇崩御、阪神大震災や東日本大震災など、26面と1面を横断した超大型写真掲載や、各ゴシックでの迫力に満ちたタイトルが、その出来事の甚大さを物語ります。
恐らくまだこのような甚大な新聞報道を知らない子どもにとっても、この紙面構成は目が点に。
「新聞がどうやって事の大きさを見る人に報道するか」を伝えることと、時代背景を話すきっかけとなります。
ビンテージ機材
展示室を進むと、新聞を製造する機械や報道に使用するカメラなどのビンテージ機材を見ることができます。
版を作成するための活字や初期のワードプロセッサーなど、こどもには解説が必要な品々がずらり展示。
そしてホールのセンターには1890年に日本ではじめて朝日新聞社が導入した「マリノニ型輪転機」が鎮座しています。
近づいて細部を見るとオイルともインクとも取れる独特の香りが漂い、当時の活躍を伝えているようです。
情報社会と新聞ゾーン
このゾーンは、現代における多くの情報の中から、間違った情報や不確かな情報を見極めて、いかに確かなものを得るかをテーマにした内容となっています。
小さなこどもにとってはお堅い内容であり、楽しむことはできませんが、昔と今での情報量の大きな差を視覚的に感じたり、情報量が多いゆえの危険性などを話すきっかけとなりました。
企画展:2022年報道写真展
3Fでの常設展示を全て見終わり、2Fへ戻ります。
受付の奥には「企画展示室」があり、今回ニュースパークに訪れた私の目的が開催されています。
それは「2022年報道写真展」。
ニュースパークのサイトでは次のような解説が掲載されています。
私は報道写真というと「あるがままを記録として残す説明型の画風」をイメージしていました。
ですが、展示室に足を踏み入れ、このイメージが完全に裏切られたというのが第一印象です。
的確な構図、美しい色彩、アーティスティックなアングル、ダイナミズム、大型パネルにしても肌の質感する感じることができる高精細画…
色々並べましたが、これは完全にアートの世界と言っても過言ではありません。
しかも「決定的瞬間」です。
日本最多の56号の球バットに捕らえた瞬間の村上選手、俯瞰でスケートリンクにフォーカスしそこには両手を広げる羽生選手とリンクに施された五輪の輪、安倍元主相国葬を広角で収めた荘厳なる絵柄、美しい自然の季節の頼り、W杯の歓喜の叫び、そしてウクライナ情勢…
どれを見ても魂がゆさぶられるような写真が陳列し、時間の経過を忘れるほどでした。
来場前は「子どもには少し難しいかな」と不安がよぎりましたが、入場後、一つ一つの写真を食い入る様に見つめ、近くによって細部を見たり、遠目で見たりと興味津々なその姿に「人を惹きつける写真の力」を知らされた思いがしました。
一緒に過ごした2022年を「こんなことあったね」と色彩豊かな写真で振り返りながら、写真の魅力を親子で感じる贅沢な時間になると思います。
この報道写真展は2023年4月16日(日)まで開催しています。
退館
報道写真展をもっとゆっくり見ていたかった… と、後ろ髪を引かれる思いでニュースパークを後にしましたが、ここから1Fに降りるのは階段がお勧めです。
ニュースパークが入る建物は、元は関東大震災後の復興事業として昭和4年(1929)に建設された「横浜商工奨励館」。
いわゆる歴史的建造物です。
平成12年に改修・増築され、その姿は「新旧の建造物の融合」的意匠を放つ、香港のペニンシュラホテル、山下公園前にホテルニューグランドにも似た風貌です。
もちろん内装もその古き時代の面影を残しており、天井や階段の造作は鑑賞に値します。
横浜という地にふさわしい建造物での展示鑑賞を終えて、横浜情報文化センターのエントランスを出ました。
近くには横浜市開講記念開館
こどもに「何が一番面白かった?」と尋ねると「ジオラマの前でやった取材ゲーム」との答え。
タブレットに映る「ペリー一行の黒船」がユーモラスに描かれているの私の頭にも残っています。
と言いますのは、以前横浜での勤務時代に、仕事の関係で横浜の歴史を調査する事があり、そこで見た一枚の「黒船来航の絵」にショックを受けたことに起因します。
今日訪れたニュースパークから徒歩5分の所にある「横浜開港記念会館」はその名の通り「横浜開港」をテーマにした歴史アーカイブスの宝庫です。
この建物は時計塔が「ジャックの塔」という愛称でも親しまれ、近隣の神奈川県庁(キング)と横浜税関(クイーン)と合わせて「横浜三塔」と呼ばれ、オールド横浜のシンボルとなっています。
ペリー上陸の図
この記念会館に所蔵されている「ぺリーの横浜上陸」の絵画が、私がショックを受けた絵です。(ちなみに上の絵ではありません)
ここに掲載できませんが、その絵を大型に表示してる美術手帖のリンクからご覧ください。
1854年にペリーが上陸し、その翌年までにこの絵画がハイネにより水彩を使用して描かれています。
その繊細なタッチはもちろん、空を空間として大胆に入れ、右手に今も開港記念会館に残る「玉楠(たまくす)の木」が構図を引き締める全体像は目をくぎ付けにします。
洋服を着たペリーを含む米兵と、着物を着る日本の役人や群衆の対比もコントラストを生み出しています。
そして湾岸に浮かぶいく隻もの黒船…
あ〜この時から、アイスクリームも、ビールも、食パンも、電話も、写真も、ガス塔も、ナポリタンも、そして日刊新聞も日本に生まれたんだな…
と非常に感慨深くなったものです。
長くなりましたが、こどもに「ペリーが来た時の、もっとくわしい絵を見にいく?」と尋ねたところ、疲れたとの事で今回は見送りとしました。
おわりに
今回は卒園アルバムのテーマから脇道にそれて、横浜市にある「ニュースパーク:日本新聞博物館」のレビューをしました。
横浜と言ってイメージする風景は、今やみなとみらい地区の景観であると思います。
1981年にみなとみらい事業が着工し、89年に横浜博覧会開催、以降建設ラッシュが続き、この40年強の年月で横浜のゆるぎないシンボルエリアに君臨しました。
ですが、私個人の横浜のイメージは、今回訪問したニュースパークが位置する日本大通りや、馬車道、山下公園近隣、中華街や山手のたたずまいなのです。
ペリーがこの地に足を踏み入れて約170年の歳月が流れますが、今でも「古いカッコ良さ」が継承されており、そして後世に伝えるため、数々の博物館が点在しています。
これからも機会があれば「こども目線」で楽しめる博物館や美術館などのスポットレビューをしたいと思います。
最後に今回紹介したニュースパークの概要を記しておしまいにいたします。
-
- 〒231-8311
- 神奈川県横浜市中区日本大通11横浜情報文化センター
- 電話:045-661-2040
今回も最後までご覧いただきありがとうございます。それでは、また。
キッズドン! 代表 宗川 玲子(そうかわ れいこ)
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