卒園アルバム制作のヒント
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2023.9.6
卒園アルバム、子どもが一番注目するページはどこでしょうか?
卒園アルバムをお客様に納品した後、アルバム委員の方々からのご評価や、卒アルを見たお子様・保護者の方の感想を伺う機会があります。
この時良く聞くエピソードに「子供が食い入るようにして長時間アルバムを見ている」というものがあります。
そして何やらぶつぶつと呪文を唱えるのような声が…
そうです、子どもは「文字」の書かれたページに強い興味を示していたのです。
卒園アルバムに掲載する「文字」は、それを読んで受ける印象が子どもと大人で異なります。
さて、子どもは「卒園アルバム掲載の文字」に何を見出しているのでしょうか。
今回は卒園アルバムにとって「文字」がはたす役割についてお話しいたします。
- 卒アル掲載の文字の適切な量とは
- 文字を載せることで得られる効果は
- 文集は必要か
こんにちは、キッズドン!の宗川 玲子です。
子どもが強い興味を示す「文字のある卒アルページ」。
プロフィールや先生からのメッセージ、発表会や運動会の演目種目など、感心するほど没頭してすみからすみまで読み尽くします。
子どもが注目する理由は「新しい世界への入り口」と「大人の世界への憧れ」という2つのキーワードに集約されると思います。
2つのキーワード
国立教育政策研究所や、日本発達心理学会などのリポートを見ると、子どもの「文字没入」の理由が2つ見えてきます。
新しい世界への入り口
一つ目は「幼児期の発達心理学」に基づいた理由です。
幼児は好奇心が旺盛で、新しいものや未知のものを探求しようとする傾向があります。
文字は、幼児にとって新しい世界や未知のものへの入り口であり、文字への興味は幼児期の発達心理学に基づいた自然な現象であるとされています。
子どもにとって「文字」は、これまで知らなかったことや、これまでに出会ったことのない人とつながることができるとても魅力的なものと言えます。
大人の世界への憧れ
二つ目は「文字学習に関する研究」に基づくものです。
文字は大人の世界の象徴でもあります。テレビや映画、本など、子どもとって大人の世界は、とても魅力的なものであることが多いです。
そのため文字を学ぶことで、子どもは大人の世界に近づくことができると期待し、文字に興味を持つのです。
もちろん子どもが文字に興味を持つ理由は、一人ひとり異なるものですので、全てが上記の限りではありません。
ですがこれらの理由により、卒園アルバムが幼少期の発達助長に少しでも役に立っているなら…
と考えると、作り手からすれば嬉しい気持ちになりますね。
文字を掲載するページの一例
それでは実際に「文字」を掲載するページはどんな種類があるでしょうか?
子どもが特に興味を示す「文字あり」ページの種類を5つ紹介します。
みんなのプロフィール
将来の夢や好きな食べ物、先生や保護者からのメッセージを「幼少と年長の写真」と併せて構成する「みんなのプロフィール」。
文字と言って思い浮かぶのは、まずこのページではないでしょうか。
子どもは友達の文字情報をくまなく読み、自分の記載内容との比較や、共通点をみつけることを楽しみます。
ここで、さらに注目度を高める「プロフィール」での掲載方法をご案内します。
文字はテキスト入力で
3問程度のアンケートを記載する場合、その内容を「園児の直筆」にするか「テキスト入力」にするかを検討するでしょう。
子どもの注目度を高めるという点では「テキスト入力」がおすすめです。その理由は
に尽きます。
仮に「直筆」を掲載した場合、各園児の筆記能力の差などによって、子どもが解釈できない場合が出てきます。
「その当時の筆跡を残しておきたい」という趣旨を重んじる場合は別ですが、全ての園児に内容を読ませたいという目的であれば、テキストを選択するべきでしょう。
先生や保護者からのメッセージも「直筆」か「入力」かで悩むでしょう。
これについては両方の記載方法に魅力があるだけに「メッセージ」を書く方がやりやすい方法で行うべきだと思います。
手書きは、筆跡による暖かみがあり、時が経過しても心に響くことでしょう。
入力は前述通り「子どもがストレスなく読める」というメリットと、「直筆を見られたくない・丁寧に書いてる時間がない」などの都合をカバーすることができます。
このことから無理なく制作を進めるためにも「方法の選択制」を設けるべきと思います。
入力フォントは特殊なものを避けて
これも「万人が読みやすく」を目的としたものですが、テキスト入力に用いる「フォント」は一般的なものがお勧めです。
スタンダードなゴシック系や明朝系の留め、反対にテレビドラマのタイトルに使用するような特殊フォントは避けた方が良いでしょう。
「ゴシック系や明朝系だと堅苦しくて卒アルらしくない」というご意見であれば「読みやすい手書き文字(ふい字や花と蝶々など)」でも問題ありません。
テキストは小さく表示することが多いため「細字」で「文字つぶれが起こりにくい」ものを選びましょう。
ひらがな記載
子どもたちにストレス無く文字を読んでもらうために「ひらがな」の使用を推奨します。
「漢字にルビ(読み仮名)を触ればいいんじゃない?」と言われるかもしれませんが、小さく表示する「漢字」に対して「さらに小さなルビ」は視覚認識の点で現実的ではありません。
またページを開いた瞬間に「漢字」の塊が目に飛び込んでくることで「見る気」を喪失することも考えられます。
卒園アルバムは生涯に渡り閲覧されることを想定しており、数年経過すればすぐに漢字が読めるようになるかと思いますが、大切なのは「アルバムを子どもに手渡したその時に読めるか」です。
先生や保護者からのメッセージを「直筆」で作成する場合もしかり、できればひらがなでの記載をお勧めしてください。
先生や保護者からのメッセージ
前章でも出てまいりましたが、先生や保護者からのメッセージは注目の的となります。
プロフィールページではなく「メッセージ専用ページ」を作るケースも多く見られます。
出来れば短文で大きな文字で
子どもは長く続く文を集中して読むことに慣れていません。
このことから「直筆」でも「入力」でも、出来れば短文で思いを綴り、そして大型の文字でみやすく記載するのが良いでしょう。
フォーマットかランダムか
良く相談されることで、メッセージは「枠サイズが同一のフォーマット型式」か、それとも「ランダムに規則を設けずに掲載する型式」かがあります。
私どもの経験上では次の内容をお勧めしています。
- 1.変形のメッセージカードに直筆の場合はランダムが良い
- 2.上記以外はフォーメット型式が良い
1.の変形とは、例えば桜の形をしたカード等を示します。
このようなカードを使用する場合、「アナログ感」や「手作り感」を演出することが重要ですので、あえてランダムに配置するデザインを取り入れ、より一層「カードのデザイン性」や「手書きのぬくもり」を引き立てます。
この変形メッセージ以外においては「読みやすさ重視」の点から規則正しくメッセージが並ぶ体裁をお勧めしています。
発表会
アルバム委員の方が原稿制作で「今ひとつ納得のいかない出来」になりがちなのが「発表会」です。
生活発表会、お遊戯会、大きくなったねの会、パフォーマンスデイなど様々な呼び名がありますが、ここでは一括りに「発表会」と表記いたします。
どんな事が「今ひとつ納得のいかない出来」と思わすのでしょうか?それは
という点です。
懸命に覚えてたどたどしくも言えたセリフ、難しいハーモニーが実現した合唱、チームワークの楽しさを満喫した合奏など、特に年長の発表会演目は目頭が熱くなるシーンに溢れています。
ですが、いざ写真としてアルバム原稿へレイアウトをしていくと「何かが物足りない…」という感覚に陥ります。
その物足りないものは「音」に他なりません。
発表会は、劇の衣装や背景セット、壮観に並ぶ園児の姿など、一見ビジュアルメインと思われがちですが、音の重要性も外すことができません。
解説を入れる
劇であれば「あらすじ」やシーンが変わるところで「これはどんな情景か」を入れる、歌系であれば「どうしてこの歌が選ばれたのか」「どんなところを努力したか」などの説明を入れるだけで、写真のポテンシャルが数倍に上がります。
主要なセリフを入れる
数年後にアルバムを見た際に、その「劇」がどのようなストーリーで進行してたかを写真だけで思い出すことは難しと聞きます。
各シーンで主要となるセリフを吹き出し等で入れることにより、記憶が想起されてよりアルバムを楽しむことができるでしょう。
歌詞を入れる
合唱に使用した歌の歌詞を掲載することでアルバムの演出効果が高まります。
掲載スペースがなければ歌詞の一部でも良いでしょう。
一般的に誰もが知っている曲の歌詞を掲載する場合、著作権が帰属している「日本音楽著作権協会(JASRAC)」に申請を行う必要があります。
JASRACに許可を得るには、以下の手続きが必要です。
- 1.JASRACのウェブサイトから「JASRAC出版許諾申請書」をダウンロード
- 2.申請書に必要事項を記入
- 3.申請書に必要書類を添付
- 4.申請書をJASRACに郵送する
ですが例外があり、既に幼稚園や保育園で「曲使用」の目的でJASRACに申請を行ってる場合があります。
この際、その申請に「歌詞印刷掲載許可」が含まれてることもありますので、事前に先生に伺ってみると良いでしょう。
営利非営利に関わらず申請は必要とされています。
このブログ記事で申請をお勧めしているのは次の理由が本音となります。
「ここに掲載してる歌詞ってJASRACに申請したの?」という風に質問を投げかけてくる保護者が「必ず」と言って良いほど存在します。
ここで「ちゃんとしています」と答えるか「言わなきゃわからないから大丈夫でしょう〜」と言ってお茶を濁すか…
と、ここまで書いて「そんなに面倒なことが起きるなら掲載しない」と思われるかも知れません。
ですがてJASRACへの申請は思いのほか簡単ですので、ぜひご検討ください。
動画リンクを活用する
発表会の模様を動画編集しYoutube等の動画サイトへ公開、そのリンクをQRコードにしてページに掲載する…
といった仕組みは年々増加しています。
これを取り入れる際おすすめなのが「写真を絞り込み大きく掲載し文字情報をふんだんに入れる」体裁です。
劇や合唱等の「ビジュアル」は動画に任せ、アルバム自体は訴求力を高めるために「シンプル化」に、その反面文字情報のボリュームを膨らませて掲載すると、アルバムが映画を見る前のパンフレットのような役割となり、より一層動画が楽しめます。
ここで大切なのは、欲張ってアルバムも「多量の写真で構成」しないことです。
解説や歌詞を多く載せることが目的であるならばなおさらです。
少ないビジュアル、興味を引き立てる文章で「動画サイト」に誘導しまししょう。
運動会
運動会ページに載せる文字といって思いつくのは何でしょうか?
「かけっこ」「リレー」などの種目でしょうか、組体操の「ピラミッド」などの演目でしょうか?
ここでお勧めしたい文字掲載は「各種目に対する先生からのメッセージ」です。
努力を積んできたビハインドシーン
園児は運動会の晴れの日のために一生懸命練習を積んできました。
何度やっても出来ない逆上がりや竹馬、ついついチームプレイを崩してしまうパラバルーンなどに涙した数々の園児…。
先生や友達の励ましによって、それを克服し運動会当日に見事成し遂げた園児も少なくないでしょう。
そんな大舞台の裏に秘められた「園児の努力とそれへの想い」が先生の言葉によって綴られていれば、園児はサプライズにも似た感激を受けることでしょう。
お客様の作成した原稿を見て、第三者の私たちが感動するくらいのパワーがありますので、ぜひ採用をご検討ください。
園の一日
最後に提案するのは「園の一日」です。
登園から降園までをダイジェストにビジュアルと文章で表現します。
私が感心したお客様の原稿の一つに「各シーンの説明」を解説型のキャプションではなく、全て「吹き出しによる園児の言葉」で書かれてるものです。
例えば「給食時間」を表示する場合「たのしいきゅうしょく」とキャプション表記するのが一般的ですが、これを給食当番のメンバーが「おいしいきゅうしょくいただきまーす!」という吹き出し明記にしています。
この他「朝の会」と書かずに「今日は大切な発表があるよ〜(と先生が伝えてる)」、「おさんぽ」と書かずに「いつもの由比ヶ浜公園に到着!(と園児から吹き出し)」とする…
この工夫によって子どもたちは「より当時の園の一日を具体的にイメージできる」ようになります。
このように、ついつい大人の感覚で「表記方法」を決めてしまいがちですが、子どもの視点で「どう伝えるか」を考え抜くと、卒園アルバムの真価がぐぐーっと向上します。
おわりに
今回は「卒園生が一番注目するページとは?それは文字の掲載されてるページです」というテーマでお話しをしました。
卒園アルバムは、言わずもがな子どもの思い出を残すための大切な宝物です。
その思い出を最大限に引き出すために「文字」は必要不可欠と言えます。
文字の書かれたページに工夫を加えることで、こどもの文字への興味を伸ばし、卒園アルバムをより意味のあるものにすることができるのです。
文字を読むことで新しい世界が目の前に広がる、文字を読むことで大人の世界観に入ることができる、そしてその強い興味は、今後の学習能力に繋がっていくかもしれない…(
大袈裟ですかね-笑-)
子どもの視点に立って、どんな文字表現をすれば喜ぶか、アルバムに強い興味を示すかを考える時間を設けて、ぜひ素晴らしい宝物をお造りください。
今回も最後までご覧いただきありがとうございます。それでは、また。
キッズドン! 代表 宗川 玲子(そうかわ れいこ)
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