卒園アルバム制作のヒント
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2023.2.23
「こんな卒園アルバムはいやだ〜」作り手・もらい手から本音を聞きました
こんにちは、キッズドン!の宗川 玲子です。
卒園アルバムに関する不満の一つに「自分のデザインの好みと合わない」があります。
美的感覚を含む人の感性は十人十色であり、Aさんが好きなものがBさんは嫌いということは当然のように存在します。
卒アル制作に置き換えれば「私が提案したデザインの方向性に賛同者がいなかった」や、アルバムを受け取った方が「えっ?ちょっと違う感じが…」と困惑する状況などが一例でしょうか。
このような「感覚のずれ」は制作側も受け取り側も許容しており、あらかじめその事態を了承して「制作」が行われてることから、クオリティに対して苦言が出ることはまずありません。
ですが… 中には「大きくずれてる」ものもあり、ずばり「こんな卒園アルバムいやだ〜っ!」と愚痴の一つでも発したいものもあると聞きます。
今回は、アルバム制作者と、アルバムを受け取る保護者や先生方からのお話を基に、「いやだ〜っ!」を10の談話で紹介します。
- アルバムを見る方は何を期待しているか
- 作ったあとに低評価になるのを避けたい
- 一般的にいいねと言われるアルバムとは
- 反面教師のアルバムを知りたい
目次
「こんな卒園アルバムはいやだ〜っ!」と思わず嘆く10選
1.写真が多すぎる
アルバムを開くとそこには小さく切り抜きされた無数の写真。
数えれば見開きで70点近い枚数が掲載されています。
まるでウォーリーを探せのごとく非常に細かい造作がされています。
これを制作した担当者は、さぞ苦労されたことだろうと労いの思いを馳せる一方で「これだと自分の子供を探すのに一苦労」という別の思いが…
アルバム40ページ構成の全てが「写真密度の高い」造りとなっており、初めの6ページくらいまでは我が子を探しましたが、それ以降は閲覧疲れが起きてアルバムを一旦閉じました。
公平性での数合わせは理解できるけど、行事の楽しい雰囲気が伝わってこず、残念な気持ちになりました。
なぜ写真点数が膨らむのでしょうか。
- 掲載人数が多く公平性の数合わせで必然と枚数が膨らむ
- 切り抜きを多用すると空間を別の写真で埋める必要があ
- これでもかという位い思い出を詰め込みたい
- 力作と評価されることで達成感を得たい
などが一例になります。
写真の点数が多ければ多いほど、当然個々のサイズは小さくなり、園児の表情は読み取りにくくなります。
仮に上記談話における「最小写真サイズは縦横15mm」であり、これでは「掲載されていない」に等しいと言えます。
制作者としても「アルバムを楽しく制作する」と言うよりは「掲載枚数にクレームが出ないよう穏便にことを運ぶ」ことが優先され、苦行となるケースが少なくありません。
アルバム全体で、個々の掲載の「数合わせ」を行うなどの方針として、各ページの掲載点数を減少させ、訴求力を高めると良かったですね。
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2.写真が少なすぎる
委員のリーダーは「写真が並列で並べてある構成はいや。もっとスタイリッシュにグラビア雑誌のような構成にしたい」と方針を表明。
リーダーに手によって数ページのサンプルが作られましたが、平均1ページに2枚という少なさ。
さらにおしゃれ感を演出するために、写真はコントラストの強い「モノクロ」に変換されています。
その写真自体はインパクトがありますが、卒園アルバム特有の雰囲気は全く感じることができません。
さらに1ページ掲載点数が少ないことから総ページ数が150ページ換算となり、予算も2倍近くに膨れ上がる始末に。
暗礁に乗り上げ、このあと仕切り直しになったのは言うまでもありません。
写真点数は少なければ少ないほどインパクトが高まり、アルバムを見る方に強烈な印象を与えることができます。
ですが、それはその少数枚数でそのページの趣旨が十分に伝わることが条件です。
例えば運動会のページで「集合写真1点:グループ写真3点」であれば趣旨が明確ですが、個人写真のアップを4点だと「なんで?」という疑問が先行することから、趣旨は伝わりにくくなります。
このことから、卒園アルバムには適するデザインと適さぬデザインがあることを認識の上で、どのように表現するかを考える必要があります。
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3.四角写真の並列構成
園から昨年までのアルバムを数冊拝借し参考にすることから卒対の活動がスタート。
例年にならい、写真選定は卒対が行い、デザインレイアウトは契約業者が行う制作方法で事を勧めました。
歴代のアルバムを見ると、どれも「四角形の写真を境目なく敷き詰める構成」で、一言でいえば「つまらないデザイン」。
先生になぜこのような構成かと伺うと「制作会社の方針で『多くの方が見るアルバムなので当たり障りのない体裁』にしている」との回答でした。
でもこの内容で20ページ18,000円は高いと感じ、園に別業者変更の検討を説得するも「写真撮影も込みで契約なのでそれはできない」と一蹴されてしまいました。
デザイン変更は断念しましたが、そんな心境で写真選定を続けるのは辛い日々でした。
園と写真館やフォトスタジオが「主要行事の写真撮影とアルバム制作」を契約してる場合、この談話のように「面白みに欠けるデザイン」と「料金高額」となる傾向が強く出ます。
業者変更は一筋縄ではなく、このケースの場合、卒園アルバムを「園での記録写真」として位置付け、デザインや演出への思いはきれいさっぱりと捨て去るしかないでしょう。
時に、卒園アルバムを制作することを中心に、日頃の撮影が行われてるのではない…といった理解も必要になる一例です。
よろしければキッズドン!のデザインをご覧ください。
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4.なんでこんなに画質が悪いの?
園はスクールフォト販売会社と契約しています。
カメラマンが行事ごとに撮影に園に派遣され、その写真はネット販売されるシステムです。
私も行事のたびにワクワクしながら撮影された写真を閲覧し「どうしてプロが撮影する写真はこんなにも綺麗で迫力があるんだろう」と感心しながら購入しています。
卒アル委員の手によって制作されたアルバムが納品されましたが、そこに使用されてる写真は「ぼやけてる・カクカクしてる・画質は極度に低品質」であり、どう見ても日頃購入してるプロのものではありません。
納得がいかず「あの写真はカメラマン撮影ではないよね」と委員の一人に聞いたところ次のような回答が。
「カマラマン所属の会社で卒園アルバムを作らないと、カメラマン撮影の写真は使用できないの。
自分たちで撮影を計画したけど「園所有のカメラのみで撮影可でありそれ以外は不可」というお達しが出て、しょうがなく園の旧式のコンパクトデジタルカメラで撮影したんだ」
唖然としましたが、私と同じ印象を持つ保護者が複数いて、一時卒アル委員に詰め寄るといった騒ぎも。
期待が大きかっただけに残念な気持ちでそのアルバムを眺めています。
前項の写真館との契約に類似した内容ですが、歯痒いながらも卒アル委員や保護者が異論を唱えても、変化は訪れぬ事案と言えます。
どうして卒アル委員は、このスクールフォト業者の「卒園アルバムシステム」を使用して制作をしなかったのでしょうか。
次のような理由が挙げられます。
- アルバム自体が高額で予算に見合わない
- 保護者が制作するためには園契約のアカウントでログインが必要であり、しかし園が安全性の観点からこれを認めない
- 卒アル委員のオリジナル性を出したいため、制作ソフトの使用を避けた
では、デジタル購入している保護者に賛同を得て、各保護者からデータを支給してもらえばオリジナルで作れるのでは?と思われるかもしれません。
ですがデジタル購入した画像データはえてして「複製防止」のために低解像度となっており、印刷には不向きであることが殆どなのです。
このビジネスの縛りで一番悔しい思いをしてるのは、制作を行なったアルバム委員の面々であることは間違いありません。
その気持ちに寄り添っていただき、アルバムがあるだけまだ良しと意識を変えていただければと思います。
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5.文字が一般的なフォント
アルバムが届き素敵な仕上がりに満足してるのですが、フォントの扱いが気になりました。
使用されてるのは、MSゴシックやMS明朝、メイリオといった、いわゆる無難な標準フォントだけで、飾りも何もありません。
しかも黒の一色で紙面の雰囲気にそぐわず、文字だけが浮いて見えます。
友達の卒対役員に理由を聞いたところ「リーダーのトップダウン」であったとのこと。
リーダー曰く「普通タイトルといったら、かわいらしい丸文字系や手書き系だけど、ここは特徴を出すために逆手を取って標準フォントで統一する」と、なんとも理解しがたい理由でした。
人それぞれの感覚ですので、それ以上物申すことはやめましたが、せめて卒アルにふさわしいフォントを吟味していただきたかったです。
文字は絵や写真以上に「ものを語る」ため、デザイン上扱いが難しいとされています。
ですが、上の談話のように「全体のデザイン性が優れていれば文字の種類やサイズ、装飾などなんでも良い」という見解を持つ方は意外に多いのです。
他の委員が意見できなかった体制にも問題がありますが「文字情報」を入れる前と後では、その紙面の見え方がガラリと変わることを十分意識して取り組むべきでしょう。
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6.なぞの背景
卒対で今まさに制作の真っ只中にいます。
ページ担当性で個々に制作を進めてますが、1名とっ拍子もない感覚の持ち主であり、扱うデザインにいつも驚き、と、同時にその感覚にブレーキを掛けてあげるべきではないかと思い悩んでいます。
例えば「運動会は組体操の「富士山」がメインパフォーマンスだった。これにより背景は雄大な富士山の写真を使いたい」であったり、「このページは変顔特集として園児・先生・保護者全員に変顔で登場してもらい笑いを誘おう」といった発想です。
それはそれでありなのかなーとも自分自身を説得し、こじらすのも面倒なので静観して出来上がりを待っている状態です。
卒園アルバムに使う背景は「こうすると良いでしょう」というセオリーはありますが、この突き抜けた感覚を持つ委員の方は、あえてそれを排除してオリジナリティを用いているのでしょう。
ただいささか「見る方の心境」に寄り添うところが無く、自己実現に突き進んでるため、その点が惜しいところです。
他の委員の原稿が完成すると、そこに「比較」が生まれます。
ここで突き抜けた背景と比較され、それを維持して進むまもしれませんし、考え直して方向転換するかもしれません。
その結果を受け入れて、その方制作のページは意識せず、まずは自分の制作するページをベストな形に作りあげることが大切と言えます。
このような状況はまさに「卒園アルバム」の制作現場のリアルとも言えます。
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7.フリー素材のデパート化
制作途中の原稿を見せてもらうと、写真点数を超えるフリー素材がところせましと配置されています。
ページを開いて目に飛び込んでくるのは、写真ではなく素材、素材、素材…
しかも素材同士に統一性がなく、個々に「かわいいから」という理由でダウンロードし使用しているとのことです。
製作者本人は「写真画質が悪くそれを補うために素材をふんだんに使用している」とのことですが、私としては逆効果のように見えます。
「もう少し減らしてみれば」と当たり障りない雰囲気で提言するも、「一つ外すと全体のバランスが崩れるからできない」との一点張り。
他の委員も説得をあきらめており、このまま完成に向かいそうです。
今や自由にフリー素材がダウンロードでき、さらに提供サイトも増加し続けています。
本来素材は「素材同士の風合いの統一」と「その紙面にマッチするかどうか」を見定めて使用を検討するのが一般的です。
「かわいいから」「素敵だから」「デザインが優れてるから」だけで紙面構成に加えると、完成度が高い原稿ほど、その世界観が失われていきます。
上の談話のお話でが、写真よりも素材が引き立つ点に難がありますが「賑やかでとてもインパクトがあるページ」と捉えて進めるのも一考でしょうか。
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8.誤字脱字だらけ
アルバムをいただき、オープニングページに位置する「園児紹介ページ」から閲覧をし始めました。
「うん?我が子の漢字が間違ってる…これ、校正した前の原稿じゃない?」
そこで見るテンションが低下したのですが、なんと隣に写るAちゃんの読み仮名も違ってる…。
嫌な予感を抱きつつ、各ページにある大量のメッセージやキャプションを確認していくと、あれよあれよと出てくる誤字脱字の数々。
後日訂正しての再販を求めると「時間がないからできない」「あまりの忙しさに入校する原稿を間違えた、多めに見て」と心ない返答に憤りを感じます。
しばらく押し問答が続きましたが「未完成品にお金は払えない、返金を要請する」との保護者の一言で、渋々修正しての再版となりました。
作る時は懸命に取り掛かるが、確認作業は苦手…という方は少なくありません。
特に何かをやり遂げたことに強い達成感を得るタイプ=燃え尽き症候群の方に多いと言います。
その確認作業の中でも最も面倒なのが「誤植チェック」です。
穴があくほど文字に目を凝らし、再三確認をしても「見落とし」があった時の落胆は、とても言葉で表現しきれないほどです。
上の担当者の方は、本来速やかに修正して改めて印刷製本の手配を取るべきでしたが、その分の費用負担をどうするか、修正にかかる時間の確保の問題などが首をもたげて、即座のアクションにならなかったのでしょう。
それだけ「文字校正」とはやっかいなものです。
校了の時点での最終チェックは「委員全員」で原稿を回覧し「文字校正」を行うくらい、慎重を期すべきでしょう。
9.暗い
原稿をパソコンのモニターで見てるときは、あんなに輝いていたのに、印刷されてきたアルバムはどうしてこんなに「暗い」の…?
今もモニターの横にアルバムを広げて比較してるけど、あきらかに明るさが違う。
業者に問い合わすも「モニターの色彩と印刷は異なり、えてして明るさはダウンする傾向にあります」との返答。
こんなことなら一度テストでプリント依頼をかけるべきだった。
弟の時は卒対に立候補してリベンジしようと思った次第です。
その弟様の代のご成約をいただいた際に、上の談話をいただきました。
確かに業者の発言はその通りであり、モニターと同一の色彩にはならないとの覚悟は必要です。
ですが、委員の方がおっしゃる通り、原稿制作初期の段階で「テストプリント」を業者に依頼し、モニターとどの程度乖離があるかを目視して、それ以降の原稿制作の指標とすることがベストな対処と言えます。
そして良く話を聞くともう一つ落とし穴がありました。
業者の印刷方式はCMYKのカラーマネジメントに対し、委員の制作ソフトはRGBで制作されたいたという事実です。
RGB出力のデータをCMYKに変換することにより「くすみ」が発生し色の種類によってはダーク系に変転します。
このことから全体が「暗い雰囲気」になったと推測しますが、制作の前段階にて「印刷におけるカラーマネジメントはCMYKかRGBか」を確認しておきましょう。
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10.高い
私たちの幼稚園は写真館との契約で、普段の写真撮影から卒園アルバムまで一貫して依頼をしています。
普段からとても美しい写真を撮影していただいてるのですが、卒園アルバムが高額であり、納得がゆかないのです。
20ページのアルバムが1冊¥18,500で、2年前に卒園した兄の代の¥16,000よりも相当に値上がりしています。
他のアルバム業者を比較してみると半額以下で購入できるところもあり、どのような仕組みでこの金額設定されてるかはなはだ疑問です。
決して凝ったデザイン性があるわけでもなく、四角写真が整列されてるに過ぎません。
園と写真館は古いつながりがあることから、業者変更は難しいとのこと。
ただ、アルバム制作自体を無くすことはできるとのお話でした。
もし自分たちでアルバム制作を行う場合、写真館撮影の写真は使用できず、保護者自らが撮影することになる旨も、説明していただきました。
私個人の意見ではどうにもならないため、次の年代に引き継ぎし、保護者会で意見招集をし園に提言することを勧めています。
上の談話のような契約がされてる場合、料金は高額になることが通例です。
撮影に来訪されるカメラマンは、指定の日程を園のために確保しており、仮に園より高額依頼があってもそれを断らなくてはいけません。
そんなスケジュール調整や往復の交通費、その他もろもろの諸経費を卒アル料金に上乗せし、帳尻を合わせてる場合もあります。
昨今の傾向としては少子化が進むことにより利益確保が難しい、アルバム制作担当者が高齢化している等の諸問題により、アルバム制作自体を取りやめる業者も増えてきています。
このため、制作部数が減少することによる単価アップや、日常撮影のみのサービスに舵を切るケースに繋がってきます。
卒アルのみの単価を見ると高額ですが、日頃の撮影や写真提供を含めて総合的に見れば、納得する出費である場合もあります。
このように園との契約がなく、キッズドン!のようなアルバム制作会社での料金体系も、いわば千差万別です。
要はそのアルバムの価値が料金に見合うかです。
気になる業者のサンプルアルバムは必ず取り寄せ、数社分を並べて比較検討をしましょう。
A社とB社が同レベルの印刷品質であり、料金に大きな開きがあれば、これは迷いなく安価の業者を選ぶこととなります。
そのためにはアルバム自体での比較と、付帯するサービスの内容を具体的に調べることが重要と言えます。
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おわりに
今回は、アルバムを制作する委員と、アルバムを受け取る保護者や先生方からのお話を基に、思わず「こんな卒園アルバムいやだ〜!」と嘆きたくなる内容を紹介しました。
卒園アルバムの制作は、基本「自由」であることが大切なポイントです。
保護者からアルバム制作を委ねられてるわけですから、制作当事者以外の方はその内容やデザイン性について言及を控えるべきと思います。
ですので、上でお話した10の内容についても、完全否定せず、擁護の言葉を唱えてる場合もあります。
この事例を反面教師とされ、制作の方向を決めて行く上で、卒アルに携わる全ての方の満足度が高まることを期待しています。
今回も最後までご覧いただきありがとうございます。それでは、また。
キッズドン! 代表 宗川 玲子(そうかわ れいこ)
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