卒園アルバム制作のヒント
BLOG Archive
- 卒園アルバムTOP
- 卒園アルバム制作のヒント
- 卒園アルバムに切り貼り-切り抜きを使用するその前に…
2021.9.9
卒園アルバムに切り貼り-切り抜きを使用するその前に…
人型にプリント写真を切り取り、原稿台紙に貼り付ける「切り貼り制作」、パソコンソフトやアプリを用いて人物を切り抜き、デジタル上で構成していく「パソコン切り抜き使用制作」、いずれもかわいらしく、動きがあり、卒園アルバム=切り貼り制作というほど、その制作方法は定着しています。
ですが、この「切り抜き」は使い方によっては、原稿のクオリティを引き下げる要因になりかねません。今日は切り抜きを使用する上での注意点や、上手な活用方法などについてお話ししてまいります。
こんにちは、キッズドン!の宗川 玲子です。
- どんな制作方法があるのかを知りたい
- 制作方法の長所と短所を知りたい
- その制作方法が自分に合っているか心配
このブログの動画版がございます
このブログをダイジェストにした動画がございます。お時間のない方はどうぞこちらをご覧ください。
みんなが切り貼りを選ぶ理由
なぜ切り抜き制作が選ばれるのでしょうか。
過去のアンケートでの回答をまとめてみました。
アンケートは「プリント写真を切り抜き台紙に貼る〈切り貼り制作〉」「パソコンソフトやアプリで切り抜きを行いデジタルで原稿制作」された方を対象としています。
- 切り貼りでつくるものと思っていた
- 歴代の慣例によって
- 画像検索で好感を持ったから
- 見る人を驚かせたかった
- (切り貼り制作の方で)パソコンのスキルがない
- 写真をそのまま並べるのは面白みに欠ける
- 写真をそのまま並べるのは努力してないと評価されると思った
など、理由は様々です。何項目か深堀してみます。
切り貼りでつくるものと思っていた
切り抜き制作するのが卒園アルバム…
という既成概念を持たれてる方は以外に多いです。
卒アル制作でパソコン制作が本格化してきたのは2013年頃。次いでアルバム制作業者が「制作専用ソフト」を提供し始めたのが2015年頃と言われています。
つまり7〜8年ほど前までは、高額なパソコンとグラフィックソフトを所有するほんの一握りの人以外「切り貼り」でアルバムを制作していました。
長い歴史において「切り貼り」はあたり前の制作方法であり、これにより「卒アル=切り貼り」のイメージが定着していると言えます。
歴代の慣例によって
それだけ長い歴史を持つ「切り貼り制作」。
代々、保育園幼稚園、そこに属する保護者間では当然のように切り貼りが受け継がれ、近年になって「パソコン制作」や「業者制作」が登場しても歴代の流れを変えられず、切り貼りが採用されてる例が非常に多く見られます。
温かみがある/園児に思いを込めて制作 …などの概念が「切り貼りでなくてはダメ」という方針となり、変えたくてもこの方法を変えられない事実があるのです。
見る人を驚かせたかった
以外に多い動機がこれです。正直すぎる本音であり(笑)「驚かせたい!」「すごい!と言われたい」「みんなの涙を誘いたい」という熱意がみなぎります。
卒アル制作に対する熱量の高さには感服いたしますが、この心情で制作を進めると「自己満足」で完結してしまう恐れもあります。
アルバムを見る人の感性は10人十色。その全員に喜ばれる卒園アルバムをつくることは難しい課題ですが「自己満足<他者満足」の視点が好ましいといえます。
パソコンがない、スキルがない
パソコンがなければ、切り貼り制作か業者依頼の方法しかありません。
この回答の方々の一部には「切り貼りしか手段がないけど、手先が不器用だから切り抜きは避けたい」という心境を持たれています。
そのような相談を受ける際、私たちは「切り抜きを多用する必要はなく、写真をそのままで掲載する、四スミを角丸にカットする、円型カッターで丸く型抜くなど、シンプルな形で台紙に貼り付ける」ことをお勧めします。
この方法、むしろアルバムを見る側にとっては「すっきりと見やすい」デザインとなり、好印象を持たれる可能性が高いからです。何よりもシンプルが人の心に響きます。
努力してないと評価されると思った
これは全くの誤認識です。長時間労力をかけて切り抜き加工し、その結果、写真が過密すぎて見にくくなり卒アルとしては今ひとつの評価…とはよくある事象です。
切り抜きをせず、写真そのものをシンプルに配置することで好印象を得るこが多いこが事実なのです。
実際の切り貼り制作に対する感想
保護者や先生、そして園児がアルバムに求めるものはなんでしょうか。
それは「見やすさ」に他なりません。もちろんかわいらしい造作や背景画、切り抜きの動的表現は欠かせませんが、そればかりで構成されたアルバムは「見にくい」と評価される傾向にあります。
シンプルな構成が見る人を魅了
あくまでも推奨構成の一つとしてですが、メリハリがあり、一点一点の写真が鮮明に表現され、全体的にシンプルな構成でインパクトがあるページが好ましいとされています。所々に切り貼りに適した画像が点在し、真四角や角丸四角の写真が安定感を生み出し、全体のレイアウトを良好に司ることで見るものを魅了するのです。
切り抜きのみのレイアウトは、賑やかさを高める一方で、一歩間違えると煩雑に見え「伝えたいことがわからない」「訴求ポイントが分散する」などのデメリットが生じ、せっかくの制作苦労が水の泡となる場合があります。
このレイアウト=構成については後述します。
切り貼り制作は大変-その手法
切り貼り制作は非常に大変です。
プリント写真を切り抜きして使用する「切り貼り制作」と、ソフトやアプリを使用して「切り抜き」しデジタル上でレイアウトする2つの手法に区分して見てみましょう。
切り貼り制作の特徴
- 切り抜く基となる「写真プリント」が必要(24ページ仕様で約600枚前後)
- 写真そのもののサイズで制作するため、構成・レイアウトの思案に時間を要す
- 失敗が許されない「切り抜き作業」と「貼付作業」
- 1つ1つの作業動作に時間がかかる
総じて、切り貼り制作は時間と労力がかかります。
仮に土日祭日しか休みがない保護者委員が、複数のページを担当し、それを卒園式前までに仕上げることは、たとえ本人の熱量が高くとも相当な試練となることが目に見えています。
楽しみが苦行に
当初は、その作業が新鮮であり「楽しみ」「作る喜び」を感じていたのが、次第に苦行に変わりいつしか作業から遠のき、納期延長といった事象を幾つも見てきています。
写真サイズを事前に変えてストレスフリーに
切り貼り制作は「パソコンやスマホに保存されてる写真をL版プリントして使用する」のが一般的です。
ですが、この状態ですと色々な支障が出てきます。
- 園児のサイズを合わすことができない
- 写真が入りきらない場合がある
- 意図せぬ空間が発生する
などが一例であり、この辻褄(つじつま)合わせがかなりのストレスとなります。
この状況を解決するために「プリントする以前に写真を最適なサイズに変える」という方法があります。
詳しくは下のブログ記事を参照ください。
制作時間をシミュレーションする
活動開始の前に「自分が使える時間」を書き出し、シミュレーションを行った上で成し遂げることができるかを測ると良いでしょう。
シミュレーションは次の項目でワンセットとして、そのセットを「何回繰り返すか」と掛け合わせて算出します。
- 写真選定
- プリント発注期間
- 切り貼り制作期間
制作時間に関する記事も併せてご覧ください。
デジタル切り貼りの特徴
- 細部の切り抜きにこだわると、写真の切り抜き以上に時間を要す
- 切り抜きソフトやアプリの使用で解像度が低下し、印刷に適さなくなることがある
- 切り抜きに適さない写真を採用した場合、全体的にクオリテイが低下する
現代はAIが人物象を検知し(条件はありますが)3秒程度で完璧に切り抜きを行うソフトやアプリが存在します。
今後切り抜きを採用し原稿を制作されることが多くなることは間違いありません。
ですが、この無料Webソフトやアプリを使用する場合、切り抜き後の画像解像度が低下する場合があります。また、簡単に結果を出せることから乱用し、時には「ピンボケ」「背景と人物が同色」「低解像度」等の写真をも切り抜き、それを配置し、その結果原稿のクオリティを低下させるケースもあります。
切り抜き使用での注意点
切り抜き使用でのレイアウトで大切なのは、原稿全体の「構成力」です。
人が絵や写真を見て「美しい」と判断するに「空間」の要素が大きいとされています。被写体や絵の対象物そのものの美しさはもちろんのこと、その背景となる空間のカタチがいかに綺麗かがポイントとなります。
切り抜きは良作だが…
切り抜きだけの構成だと、この「空間」のカタチが複雑となり、切り抜きは良作だが、全体を見ると今ひとつ…といったことが起きるのです。
反対に写真そのものが理路整然と並べられたレイアウトはどうでしょうか。いわば最近のWebサイトのトップページやスマホのトップ画面は、アイコンやサムネール、様々なボタンが同ピッチで並び、誰もが「見やすい」「美しい」と直感で思うはずです。
このことから、切り抜きのみでハイクオリティの原稿制作を目指す際は、念入りにレイアウト構想を練ってから、作業を開始されることをお勧めします。
切り貼り制作のポイント
- アクセントの役割で使用
- 原稿最下部に集中
- 適した写真を選定
- 背景を意識した切り抜き
- 全身写真を中心に採用
詳しくお話しします。
アクセントの役割で使用
〈切り抜きに対する評価〉でも触れたように、切り抜きの多用には注意が必要です。
その数が多くとも、安定感のある「四角」や「正円」の写真も採用し、全体のバランスを保ことをお勧めします。
原稿最下部に集中
あなたはどんな切り抜きに違和感を覚えるでしょうか?恐らく「腰より下が無い」といった見え方で、中途半端な体の位置でカットされた画ではないでしょうか。
このような切り抜きは、周囲の写真とのバランスが取りにくく不安定なイメージを与えます。例えば「腰より下が無い」切り抜きの場合、あえて原稿最下部より「裁ち落とし領域(製本の際にカットされる部位)」まではみ出して配置し、腰より下が無いことを意識させない構図にすると良いでしょう。
同様に全体像の切り抜きであっても原稿下部にまとめると「地に足が付く」イメージとなり、座り良く見える効果があります。
適した写真を選定
適した写真とは
- 背景と被写体の色彩が同色でない
- ピントがしっかりと合っている
- 被写体の動きが魅力的
- 遠目の写真ではない
- 明るく鮮明な画質
などが挙げられます。切り抜きは見るものの注意を引きつけるだけに、それなりに完成された写真が好ましいといえます。
背景を意識した切り抜き
例えば運動会で被写体の後方にたなびくフラッグ、組体操での遠目にボケで写る仲間、発表会のセット、雲、樹々など、遠い将来でアルバムを見る際、その場所や空気感を想起させるために、これらの要素は少し残しておきたいものです。
この場合、人物のシルエットに忠実に切り抜きをするのではなく、少し背景を取り込みながらラフな線でやわらかく被写体を切り抜くと良いでしょう。
全身写真を中心に採用
頭から足の先まで撮影された写真は、最も切り抜きに適したアングルと言えましょう。
そして原稿のどの位置においても安定性があり、四角写真や正円写真のふちに乗せたり、歩かせたりといった演出も期待できます。
最後に切り抜き制作のクオリティをあげる方法を紹介したブログリンクを貼りますので、ご参照ください。
おわりに
今回は切り貼りや切り抜きをする際の注意するべきことについてお話ししました。
切り抜き作業、さらにそれをレイアウトする作業はとても時間を要し、十分な時間を確保できるかどうかを見極めて活動に入るべきと思います。
そして切り抜き使用の際は「煩雑を帯びてクオリティ低下の恐れがある」ことに留意し、構成を念入りに考案することをお勧めします。
楽しい切り抜き作業が、初期の準備不足で苦行とならぬよう、無理なく素晴らしい原稿を制作されることを願っております。
今回も最後までご覧いただきありがとうございます。それでは、また。
キッズドン! 代表 宗川 玲子(そうかわ れいこ)
SNSで情報更新をお知らせします
ブログや、フリー素材の新作、ニュースなどの更新情報を、ツイッターとインスタグラムでお知らせしています。フォローしていただき最新情報をお受け取りください。