卒園アルバムのつくりかた
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2025.3.30
卒園アルバム|保護者が作成する時の失敗しないための12のステップ-その4.個人ページの作成
こんにちは。キッズドン!代表の宗川玲子です。
「シリーズ:卒園アルバム|保護者が作成する時の失敗しないための12のステップ」、今回は「その5.個人ページの作成」をお届けします。
個人ページは卒園アルバムの中でも特に思い入れの深いページとなる一方、昨今では掲載自体の有無が議論されることもあります。
園児一人一人の個性が輝くこのページをどのように扱うかを解説してまいります。
- 個人ページって何を載せればいいの?
- 保護者から写真やメッセージを集めるコツは?
- いつから個人ページの準備を始めるべき?
- 個人ページで失敗しやすいポイントは?
- 写真はどのくらい必要?多いほうがいい?
- メッセージ集めで催促するのが苦手なんですが…
- 個人情報の扱いで気をつけることは?
目次
個人ページの必要性(作る?作らない?)
かつて個人ページは「卒園アルバムになくてはならないページ」と考えられてきました。
しかし、近年では時代の変化とともに、このページを省略する傾向が見られるようになっています。
その理由としては以下のようなものが挙げられます。
- 各家庭ですでに我が子の写真データを所有しているため、改めて作成する必要性を感じない
- 保護者がメッセージを書くことに負担を感じる
- 乳児期から幼児期の写真を探し出すのが困難
- 個人情報保護の観点から詳細な情報の掲載に懸念がある
- 個人ページに多くのページ数を割くと他の行事ページが制限されてしまう
これらの理由から最近では、「個人ページ」を完全に作成するのではなく、「卒園生紹介ページ」に数点のアンケート回答を記載して代用するケースが増えています。
その一方で必要性を主張する意見も
個人ページ不要論は「保護者」の見解が要因となっています。
では子どもたちにとってはどうでしょうか。
実はこどもたちにとって、アルバムの中で最も愛着が湧くページが個人ページとも言われています。
でもそれは「情報量の多さ」ではなく「自分だけの情報が掲載されている」という特別感から生まれる愛着です。
ここを理解しておくと、個人ページへの向き合い方が変わってきます。
家庭からの写真提供について考える
個人ページ作成の際、一般的に「各家庭から数点のお気に入り写真を提供してもらう」という方法がとられます。
しかし、改めて考えてみると「なぜ家庭で過ごした場面を卒園アルバムに載せる必要があるのか」という疑問も生じます。
本来、卒園アルバムの目的は「共に過ごした仲間たち」との大切な時間と思い出を記録することにあります。
もちろん「一人ひとりの成長を喜ぶ」「普段見られない友達の様子を知ることができる」という価値があるのであれば、家庭での写真を掲載することも意味があるでしょう。
個人ページを作成するかどうかを決める際は、こうした点を含め、改めてその趣旨や目的を考慮した上で検討されることをお勧めします。
冒頭からいきなり辛辣な内容でしたが、ここからは「個人ページをつくる」という前提でお話しを進めてまいります。
個人ページってどんなもの?
「個人ページ」は園児へのアンケートや数点の写真で構成された「プロフィール紹介」となります。
一般的な個人ページの内容
個人ページの掲載内容の例を挙げてみます。
- 年長の今の写真
- 乳児期の写真
- 保護者からのメッセージ
- 将来の夢や好きな遊びなどのアンケート
- お友達へのメッセージ
- 先生からのメッセージ
これだけ見ると「そう多くないな」と思われるかもしれません。
でも保護者の立場に立って考えてみると事態が変わって見えます。
乳児期の写真を探し出すのに時間がかかり、メッセージは何度も書き直し…。
結果的に「締め切りまでに間に合わない」「他の保護者に催促をかけなければならない」といった状況に陥りやすくなります。
個人ページの種類と特徴(全冊共通タイプ)
1ページに3名から4名分の均等枠をつくり、数ページを使用して制作するスタイルです。
仮に24名の園児がいる場合、
という配分となります。
仮に予算や行事の撮影状況から12ページ仕様を想定していた場合、個人ページを除く使用可能ページ数は6ページとなります。
「6ページでは他のコンテンツを載せ切れない…」
といった思いが浮かび、これにより次のような対策を検討することとなります。
- 1ページの枠数を増加(1名の掲載内容を縮小)
- 他行事用としてのページ数を増加
- 個人ページをやめて園児紹介ページに統合
- 園児紹介ページをやめて個人ページに統合
- 個人ページをやめる
- 1冊づつ異なる個人ページ採用(詳しくは後述します)
個人ページの種類と特徴(1冊づつ異なる仕様)
アルバム制作業者によっては、アルバムの特定のページを「1冊づつ異なる内容」にすることができます。
これを利用し「その特定ページをまるまる1名の園児の個人ページにする」という方法があります。
例えば、園児が24名いる場合、24冊のアルバムの「特定のページ」だけが「自分自身」のマイページになっている仕様です。
これにより多くのページ数を割くこともなく制作することができます。
また保護者も「自分の直筆メッセージを見られることがない」「個人情報の観点から安心」といった利点を感じることもあるでしょう。
反面、ともだちのプロフィールを見ることができない、卒園アルバムらしくないといったデメリットも挙げられます。
キッズドン!ではこの「1冊づつ異なるアルバム」仕様を提供しております。
詳しくは下記ボタンより専用コンテンツをご覧ください。
制作の前に決めておくこと
個人ページの制作に取りかかる前に、いくつかの大切な決定をしておくことで、後々の作業がずっとスムーズになります。
早い段階での計画が、締め切り間際の慌ただしさを避ける鍵となります。
テンプレートを使うか手作りか
まず最初に決めるべきは「テンプレートを使うか、一から手作りするか」という点です。
テンプレートを使用
テンプレートを使うメリットは作業の効率化です。
決まった枠に写真やメッセージを入れていくだけなので、迷う時間が少なくて済みます。
また、全体の統一感も生まれやすいのも特徴です。
手作り
一方で手作りの魅力は自由度の高さ。
ただし、あまりにも自由すぎると、保護者によって提出物の質や量にバラつきが出て、後から調整が必要になることも。
私がおすすめするのは「ある程度の枠組みを決めたテンプレート」です。
基本的なレイアウトは統一しつつ、色使いや飾りなどで個性を出せる程度の自由度があると、バランスが取れます。
レイアウトはどうする?
レイアウトを考える際のポイントは「シンプルさ」です。
よくある失敗は「詰め込みすぎ」。
写真もメッセージも、たくさん入れれば入れるほど良いと考えがちですが、実はその逆と言えます。
情報過多のページはかえって見る人の興味を削いでしまいます。
特に写真のサイズには注意が必要であり、主張したい写真は「ちょっと大きすぎるかな?」と感じるほど大きめにし、残りの写真は中サイズ、小サイズとなるのがお勧めです。
基本は「メインとなる写真1枚+サブの写真2〜3枚」程度。
これにメッセージを添えるだけでも、十分に魅力的な個人ページになります。
どんな写真を使う?
多くの場合、赤ちゃん時代と現在(年長)の写真を対比させる構成が人気です。
年長時期の写真
園で過ごすワンシーンを切り取ったようなスナップをお勧めします。
冒頭で触れた通り、各家庭に対して個人ページ用の写真提供を求めると、ほぼ9割の確率で「家族と過ごしたワンシーン」となります。
これを否定するわけではありませんが、卒園アルバムは「その園で過ごした時・場・人間」がテーマであることから、できれば「園での一コマ」が欲しいところです。
保護者に「写真提供依頼」を行う際に、一言「出来る限り園の行事や、園での日頃の様子の写真を選考してください」と添えると良いでしょう。
小さいころの写真
保護者宛に「小さいころの写真提供をお願いします」とアナウンスすると、「小さいってどのくらいの月齢?」という質問が寄せられます。
本当であれば「0歳の時の写真」として全員統一を図りたいところですが、そう上手くいかないのが「小さいころの写真提供」の特徴です。
それは「写真の探しにくさ」にあります。
特にデジタルデータの整理があまり得意でない保護者の方は、適切な写真を見つけるだけでも一苦労。
このことから保護者へは「探す手間を最小限に」という配慮が最も大切になります。
例えば「0歳のころが理想ですが、その写真が無い場合、または探すのに時間を要す際は3歳くらいまでの範囲で選考してください」といった柔軟な依頼の仕方をすると、保護者の負担感が減ります。
メッセージはどうする?
メッセージも量より質と言われています。
長文よりも心のこもった短いメッセージの方が、子どもたちの心に残りやすいものです。
文字数の目安を示しておくと、保護者も書きやすくなります。例えば「100字程度のメッセージをお願いします」と具体的に伝えておくと、書く側も読む側も負担が少なくなるでしょう。
また、難しい漢字や表現は避け、子どもが自分で読めるような配慮も大切です。
将来、子どもが成長してアルバムを見返したとき「どんな思いをするか」を想像しながら書くとメッセージパワーが高まります。
下のリンクボックスは「先生が園児に贈るメッセージ事例集」ですが、保護者に置き換えることもできますので、よろしければご覧ください。
メッセージ依頼の時期
保護者からのメッセージ集めは早めに動き出すことが鉄則です。
「まだ先のことだから」と後回しにすると、締め切り間際になって集まらない事態に陥りやすくなります。
私の経験では、提出期限の2か月前には依頼を出しておくのが理想的。
そして締め切りの2週間前、1週間前と段階的にリマインドを入れていくと、ほとんどの保護者から無理なく回収できるでしょう。
依頼する際のポイントとしては下記の通りです。
- 文字数の目安を明確に示す(例:80〜100字程度)
- 手書きか入力かを指定する
- 提出方法を複数用意する(LINE、メール、紙など)
手書きの場合は、メッセージカードを委員が用意し、それを渡すことにより「サイズが違った・統一感に欠ける・過度なデコレーションを防止できる」などのメリットに繋がります。
公平性への配慮
個人ページ制作で最も気を遣うべきは「公平性」です。
子どもや保護者によって扱いに差があると不満や摩擦の原因になりかねません。
特にテンプレートを使用せず、各家庭でフリーで制作をする場合に、このトラブルが生じます。
例えば、ある子のページは写真が多くてカラフル、別の子のページは写真が少なくて地味…という差が出ないよう注意しましょう。
公平性を保つためのポイントとしては、
- 写真の枚数を全員同じにする
- メッセージの文字数に上限を設ける
- デザインの派手さに極端な差が出ないようにする
- 掲載情報の種類を統一する
などが挙げられます。
全ての子どもが同じように扱われていると感じられるページ作りが、後々のトラブルを防ぐ秘訣です。
もし個別に工夫を入れたい場合は、全体のフォーマットを守りながら細部で個性を出す方法を選びましょう。
個人情報の取り扱い
卒園アルバムは思い出の品ですが、同時に個人情報の塊でもあります。
特に個人ページには子どもの名前や写真、時には家族の情報なども含まれることがあります。
近年は個人情報に敏感な保護者も増えていますので、事前に配慮が必要です。
個人情報に関する注意点を挙げてみます。
- 氏名の表記方法(フルネームか名前のみか)を事前に決めておく
- アンケートなどに「出身地」「誕生日」など識別情報を入れる場合は同意を得る
- 保護者や兄弟の写真を使用する場合は特に慎重に承諾を得る
- アルバム完成後の取り扱いについても注意喚起する(SNSへの投稿禁止など)
また、稀に「個人ページ自体を作りたくない」と希望する保護者もいます。
そのような場合は無理強いせず、代替案(例:集合写真のみの掲載など)を提案すると良いでしょう。
個人情報に関するトラブルは、一度発生すると修復が難しいケースもあります。
事前の丁寧な説明と同意取得で安心して取り組める環境を整えておきましょう。
時間配分と進め方
個人ページの制作は、見た目以上に時間がかかるものです。
特に初めてアルバム制作に携わる方は、必要な時間を見誤りがちです。
締め切りギリギリになって慌てることのないよう計画的に進めていきましょう。
いつから始めるべき?
個人ページの制作は、アルバム全体の中でも比較的早い段階から着手すべき項目です。
特に他の保護者からの写真やメッセージを集める作業は、想像以上に時間がかかります。
理想的なスタート時期は、卒園の半年前頃がベストとされています。
初期段階で行うべきこととしては、
- 個人ページのフォーマット(レイアウト)決定
- 必要な写真・文章の内容を決める
- 保護者への依頼文書の作成
- 提出方法・期限の設定
特に注目してほしいのは「余裕を持った期限設定」です。
例えば、最終的な締め切りが1月末なら、保護者への提出期限は12月中旬に設定するなど、1ヶ月以上の緩衝期間を確保しておくと安心です。
どのくらいの期間が必要?
個人ページ制作の主な工程と、それぞれにかかる期間の目安を紹介します。
- 1. 計画立案:1週間程度
– レイアウト決め、依頼内容の検討など - 2. 保護者への依頼:2週間程度
– 説明会やお便りでの周知 - 3. 写真・メッセージの収集:1〜2ヶ月
– 提出→確認→催促のサイクル - 4. レイアウト作業:3週間〜1ヶ月
– 実際のページ制作 - 5. 確認・修正:2週間程度
– 誤字脱字や間違いのチェック
全体では、最短でも2ヶ月、理想的には3〜4ヶ月の期間を見ておくと良いでしょう。
特に「3. 写真・メッセージの収集」の期間は大幅に伸びがちなので、ここに余裕を持たせておくことが重要です。
保護者の中には、提出期限の直前まで動かない方も少なくありません。そういった事情も考慮して、全体のスケジュールを組み立てることをお勧めします。
また、個人ページの制作は他のページと並行して進められる作業です。
例えば行事ページの写真選びをしながら、個人ページの素材集めも同時に行うといった工夫で、全体の効率化を図ることができます。
個人ページに関連するブログ記事がいくつかございます。併せてご参照ください。
そして、下のコンテンツは「個人ページ用のテンプレート無料提供」を紹介した内容になります。よろしければダウンロードしてご利用ください。
おわりに
個人ページは卒園アルバムの中でも特に思い入れの深いページですが、その制作には多くの配慮が必要です。
情報を詰め込みすぎず、シンプルに心を込めて作ること。
保護者への依頼は早めに行い、余裕をもったスケジュールを組むこと。
そして何より、すべての子どもたちに公平な扱いをすることが大切です。
個人ページの要否については各園や委員会で判断が分かれるところですが、作るのであれば「子どもが喜ぶページ」という原点を忘れずに取り組みたいものです。
華やかさや情報量よりも、その子らしさが伝わるシンプルなページの方が、長く愛されるアルバムになります。
卒園アルバム制作の道のりはまだまだ続きます。次回は「ステップ6:行事ページの制作」についてお届けします。
今回も最後までご覧いただきありがとうございます。それでは、また。
キッズドン! 代表 宗川 玲子(そうかわ れいこ)
(宣伝になります)
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