卒園アルバムのつくりかた
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2023.9.7
卒園アルバムの「ニュースページ」を対話型AIでつくろう
話題に事欠かない「対話型AI」。あなたはどのように活用していますか?
Chat-GPT3に始まり、GPT4へ、最近はGoogle-BardやMicrosoft-Edgeなど多数の対話型AIが登場し、私たちの日常に大きな影響を与えようとしています。
一方、その精度は時に不安定でもあり、過信は禁物であるといった助言も多く、進化への成長期であることも事実です。
そんな対話型AIを「卒園アルバム」に活かす方法を考えてみました。
私が個人的に模索した結果、AIを活かすのにふさわしいジャンルは「ニュースページ」の制作です。
他にも大なり小なりの活用方法がありますが、今回はこの「ニュースページ」に焦点を当てて、対話型AIの取扱方法を紹介します。
- ニュースページを効率良く作りたい
- 対話型AIで何ができるの?
- ニュースページって自分で作れるの?_
目次
こんにちは、キッズドン!の宗川 玲子です。
今回使用する対話型AIはGoogleが提供する「Bard」です。以降Bardと称します。
Google-Bardとは
はじめにbardについて少し触れたいと思います。既にご存じの方はこの章をスキップされ、次の章「ニュースページ制作の行程」にお進みください。
Google-Bardの試験運用は、米国の一部ユーザーを対象に2023年3月22日に開始され、日本では2023年5月10日にリリースされています。
その後2023年9月7日に、日本語版のBardがGoogleの「検索ラボ」という形で運用が始まりました。
検索ラボとは、Google-cromeのブラウザで表示される検索結果に「AI生成」した内容を先頭表示するものです。
Bardを使用する際は、直接Bardのサイトへアクセスするか、Google-cromeブラウザの右上にある「フラスコアイコン」から設定をONにして開始します。
下記はBardへ直結するリンクになります。
Bardは試験運用中であることを前提に
このBardは現在試験運用中であり、完璧な回答をしてくるとは限りません。
またBardのチャット(対話)コンテンツには次のようなお断りが書かれています。
とは言え、問いかける内容によっては、十分に信頼のおける回答提示し、使い方によっては大変重宝するアシスタント的存在になります。
Chat-GPTではないの?
Chat-GPTの登場は世の中を震撼させました。不自然さを全く感じさせない対話表現、数秒で的確な回答を返す迅速性、様々なビジネスのアシスタントとなる可能性を持つ期待性など、もう少し先の未来と思っていたAIの世界が一気に目の前に迫ってきた感覚を抱きました。
ですが、一般的に言われてるこのChat-GPT(正確にはGPT3)、実は2021年9月までの情報しか参照できません。
有料版のGPT4になると最新情報に対応できるのですが、無料で使用できるGPT3だと、これから実践しようとしてる内容に対応できません。
このことから、現在インターネット上に存在する最新情報から文章生成が行えるBardを選定しました。
制作前の留意点3つ
事前に2点ご留意いただきたい点をご案内します。
画像の使用はできない
ですが、個人で制作をする場合、この写真の使用が著作権および肖像権の理由により使用ができません。
無論、インターネット上にある画像を流用することは不可となります。
報道写真を使用する際は、申請を行い「購入」の手立てを取りますが相当な高額であるため、卒園アルバムに掛けるコストとしては見合わないでしょう。
関連性のあるイラストを用いる
ニュースの趣旨は「記録」ですので、文章だけでも事足りると思います。
ですがページに「寂しさ」を感じるようでしたら、その記事と「関連性の高いフリーイラスト」を用いて掲載するのも良いでしょう。
例えば「大リーグ大谷選手の偉業」であれば「野球少年のイラスト」、「ロケット打ち上げ成功」であれば「ロケットのイラスト」といったたぐいです。
ニュースの期間設定
ニュースの期間をいつからいつまでにするかを事前に検討する必要があります。
例えば卒園式の3月に合わせて納品の場合「3月」のニュースを入れることが出来ないため「1月から12月」にする。
卒園後の場合は「4月から3月」にする… などです。
上記は1年単位での区切りですが、前後にビッグニュースがあって掲載したいのであれば、それを載せても良いでしょう。
プロンプトは一気に書かず対話式で詰めていく
プロンプトとは?
生成内容などを指示する文字列のことをプロンプトといいます。
このプロンプトの書き方次第で、対話型AIの回答の精度が左右されるため、回答結果が好ましくないようであれば、表現を変えて再度プロンプトを入力するといった試行が必要となります。
今回ここで記すプロンプト例は、様々な表記試験を行い、ベストアンサーとなった内容をご案内しています。
たくさんの質問を詰め込むと失敗する
理想の回答を得ようと、一回の質問に多量の要求を詰め込むと、AIが「いったい何を求めているんだろう」と困惑することで不明瞭な結果に繋がってしまいます。
大きな括りで質問を投げ、出された回答それぞれについて深堀をするように質問を重ねていく…
という進行手段の方が、時間はかかりますがより理想に近い結果にすることができます。
対話を繰り返して理想の回答を詰めていく
前述しましたが対話型AIは何回かの「チャット」を行なって回答の精度を高めていきます。
万が一何度やっても理想の回答にならない場合は、AIの知識範疇外ということも十分に考えられます。
その場合は一般的なGoogle等で通常検索を行ない独自に調べる方が早いでしょう。
ニュースページ制作の行程
今回Bardを使用して制作を進める行程をご案内します。
期間は2022年4月から2023年3月までとしました。
- 1.Bardに特定期間の月ごとにおける「世間の認知度が高かったニュース」を10項目づつ挙げてもらう
- 2.1の項目から「記録に残すべきもの・こどもが興味を示すもの」の観点で5項目を抜粋
- 3.2の5項目が事実に基づいてるものかnippon.comで検証
- 4.3で確認したそれぞれの文章を引用し、対話型AIにてわかりやすく要約
といった流れになります。順を追って解説します。
1.月ごとに掲載候補を挙げてもらう
Bard画面の右上にある「+チャットを新規作成」ボタンを押します。
尚、ここでAIとチャットした内容は履歴として、新規作成ボタンの下に羅列され、いつでもチャットを続行させることができます。
チャット(対話)1回目
画面ボトムにある「ここにメッセージを入力してください」の枠に次のプロンプト(文章)を入力してみましょう。
卒園アルバムを作成しています。そのページの中に、園児が年長の時期における「ニュースページ」を設けようと検討しています。2022年4月から2023年3月までで「世間の認知度が高かった」ニュースを各月ごとに10項目づつ挙げてください。ニュースの内容は「社会・経済・文化・スポーツ・芸能」を中心とし、子どもが読んでもある程度理解できるような表現でタイトルを作成してください。
チャット(対話)2回目
出てきた回答が「子どもには難しそうな内容が多い」という場合があります。
近年ではロシア軍によるウクライナ侵攻問題や、北朝鮮によるミサイル発射など、毎月のように同じ話題が並ぶことが年によってはあるのです。
このような時は次のようにプロンプト(文章)を入力してみてください。
世界情勢の出来事が多く、子どもが興味を示さない可能性があります。そして明るい希望を持つようなニュースが少数であり卒園アルバムに相応しい内容が乏しく感じます。スポーツや芸能のジャンルを加えて、子どもが注目するような内容で再度提案をお願いします。
チャット(対話)3回目
もし2回目のチャットで理想の回答が得られない場合、質問形式を変えてみるのも一つの手です。
ここまでのチャットは「12ヶ月の各月において「社会・経済・文化・スポーツ」を中心に話題となったニュースを提示して」と回答を得ました。これを、
2023年3月の「世間の認知度が高かった」ニュースを「社会・経済・文化・スポーツ・芸能」の各項目につき10点づつ挙げてください。
と入力します。これによりニュースジャンルごとの話題を深堀することができ、より多くの回答を得ることができるでしょう。
2.回答項目からを5項目を抜粋
1の項目から「記録に残すべきもの・こどもが興味を示すもの」の観点で5項目を抜粋します。
この5項目というのは一例であり、紙面都合や趣旨の観点から何項目でも構いません。
月によっては「載せるべきニュース」が一つだけという事もあるでしょう。
繰り返しますが選定は、なるべくこどもが興味を寄せ、かつ思い出と記録される内容をお勧めします。
3.AIはウソをついていないか検証
冒頭で触れましたが、対話型AIは「さも本当のようにしれっとウソの内容」を掲載する場合があります。(試験運用と開発中の人工知能ゆえにいたしかた無いことですが…)
このことからBardの回答が「本当の正しいものかを確認」する必要があります。
ここで役立てたいのが「nippon.com」というWebサイトです。
nippon.com
nippon.comは日本の文化・社会・経済・政治など、日本に関する情報を多言語で発信するサイトです。
ニュースやビジネス、カルチャー、ライフスタイルなど、さまざまなジャンルの情報を掲載しており、日本に関する幅広い知識が掲載されています。
このサイトにある「Japan Timeline」というコンテンツは日本の「各年各月各日」に何があったかを綴る「日本の記録」となっています。
このサイトを活用し、Bardが回答した内容が「正しい」かを確認します。
こんなに良いコンテンツがあるならば、わざわざ対話型AIなど使用せずに、ここから良いものを抜粋すればいいんじゃないの?
という声が聞こえてきそうです。
その通りであり全く異論はありません。
ですがJapan Timelineには膨大なデータが記載されており、数項目の選定に労力を要する可能性があります。
またBardのように全ての月を一覧として見ることができないため、選定した後に「似たような項目になっちゃったな」という事も起こり得ます。
このことからBardである程度候補を絞り込み、Japan Timelineで検証を行うという手順をお勧めしています。
もちろんBardの回答には無く、Japan Timelineで魅力的なニュースをみつけて差し替える… といった事もあるでしょう。
4.文章を引用しAIでわかりやすく要約
さて、ニュースページに掲載する内容が決まりました。
次に具体的に文章を作っていくわけですが、ここでも対話型AIのBardが活躍します。
ここでBardが行う作業は次の2点です。
- 1.Japan Timelineから引用した内容を子供が理解できるように要約する
- 2.要約の内容を「ひらがな」に書き起こす
具体的に説明します。
1.引用した内容を子供が理解できるように要約する
例えばJapan Timelineに次のような内容が掲載されていたとします。
「宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が、種子島宇宙センターから発射した新型ロケット「H3」1号機は、離陸後、2段目エンジンが点火せず機体を破壊。」
これをこのまま掲載して、果たして小学校1年生のこどもが理解し、興味を抱くでしょうか?
それ以前にまず漢字が読めません。
将来的には読めるようになるので漢字で良いという考えもあるでしょうが、やはりアルバムを初めて見た時に楽しめるページである事が好ましいと言えます。
ここでBardの「ここにメッセージを入力してください」の枠にJapan Timelineからコピーした文章をペーストし、次のプロンプトを加えます。
次の文章を小学校低学年でも理解できるようにわかりやすく要約し「ひらがな」で表記してください。
「宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が、種子島宇宙センターから発射した新型ロケット「H3」1号機は、離陸後、2段目エンジンが点火せず、機体を破壊。」
この指示によりBardは次のように回答してきました。
うちゅうこうくうけんきゅうかいはつきこう(JAXA)とみつびしじゅうこうぎょうが、あたらしいロケット「H3」をうちあげました。でも、ロケットがとびたちたあと、2つめのエンジンがつかなくて、ロケットがこわれてしまいました。
文章をリライトする、理想の文体に仕上げるといった作業は対話型AIの最も得意とするジャンルです。積極的にご活用ください。
引用表記をお忘れなく
Japan Timelineに限らず、どこからかの文献や資料を卒園アルバムに掲載する場合、その「引用元」を掲載しとくと良いでしょう。
例えば今回の流れでは「ニュースの内容はJapan Timelineから引用し当方の要約を加えて掲載しています」という文章になります。
フリーイラストなどで装飾をして出来上がり
繰り返しになりますが、ネット上に掲載されてる写真の使用は著作権および肖像権の理由により使用ができません。
このことから「関連性の高いフリーイラスト」を用いて装飾を施すと良いでしょう。
2つのフリーイラスト提供サイトをご案内します。
イラストAC
国内最大級といっても良いフリーイラスト提供サイトの「イラストAC」。
ダウンロードできるフォーマットも「Ai(adobeイラストレーター)・Jpeg・PNG(背景透過)」などが用意され、汎用性も十分です。
検索では複数キーワードにも対応しており、理想の画風により早く到達することができます。
Free vectors
海外のサイトであり基本「Ai(adobeイラストレーター)」の提供をウリにしているフリーイラストサイトです。
Ai中心とは言えダウンロードするとJpeg・PNG(背景透過)もセットで付いてくるものが多く重宝します。
海外らしくテイストはおしゃれな雰囲気一色です。
おわりに
今回は対話型AI「Google-Bard」を使用して、卒園アルバムの「ニュースページ」を制作する方法を紹介しました。
対話型AIは全知全能のように崇められてる一方で、条件によっては使えないといった二極化の評価が存在しています。
AIにまかせて効率化が測れるカテゴリー、AIの提案を鵜呑みにせず確認が必要なカテゴリーなど強みと弱みを理解することで、活用の効果は膨れ上がります。
各月ごとのニューストピックスを提示、その内容を委員が抜粋、内容の正確さを専門サイトで確認、その内容をAIによってこども向けに要約する…
といったプロセスで行うことで、ニュースのページは仕上がります。
アルバムを渡したとき、そして遠い将来で「こんな事があったね」と振り返るきっかけに、どうぞ素敵なニュースページをお造りください。
今回も最後までご覧いただきありがとうございます。それでは、また。
キッズドン! 代表 宗川 玲子(そうかわ れいこ)
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