卒園アルバムのつくりかた
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2021.12.19
卒園アルバムの表紙のデザインを決める5つのプロセス
今回は、卒園アルバムの顔とも言える「表紙」のデザインを決めるプロセス(工程)についてお話しします。
表紙のイメージがわかない、漠然とオリジナル色の強いデザインを探してる、どんな表紙が喜ばれるのか見当もつかないなど、表紙ご担当者の方へのヒントとなればと思います。
- どれが「いい表紙」なのかわからない
- オリジナリティを出したい
- 無難な表紙にするには
- 表紙ってどこまでできるの
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こんにちは、キッズドン!の宗川 玲子です。
今回は表紙のデザインを決めるプロセスについてです。表紙というと「アルバムの顔」「常に露出してるパーツゆえにステキに仕上げる必要がある」といったイメージがあるでしょう。
お客様の中にも、本文ページよりも表紙制作に時間を掛けられる方が数多くいらっしゃいます。
でもその方々も当初は「表紙どうしよう」と苦悩され、じたばたしながら手がかりを掴んだと伺います。
どんな風にして手がかりを掴んだのか、突破口はなんだったのか、などをデザインの観点と合わせてご紹介します。
そもそも表紙とは
冒頭から少し硬めのお話しですが、そもそも表紙とはどうあるべきなのでしょうか。一言で言うなれば
となるでしょう。別の表現では「卒園アルバムの表紙は全体の統括」とも言えるでしょう。
という声が聞こえてきます。別の声では「なんか硬いなー」とも…。
まさに、その通りです。なぜこんな分かりにくい表現から導入したかにはわけがございます。
迷い続けてるならば理屈で解決したほうが良い
表紙の担当者の頭の中に「ある程度のデザインイメージ」があり、すぐにでも創作に取り掛かれるようであれば「表紙とはなんぞや」など考える必要はありません。
ですが「かいわければいいんじゃないかな」「みんながある程度納得してくれるもので良い」というお考えを持ち、がしかし具体的にはどうしたら良いか浮かばない…
といった境遇であれば、あれこれ時間を掛けて悩むよりも「プロセスによる理屈」で構想した方が、解決も早く、かつ成功率も高まると思われます。
恐らく多くの方が「ネット検索での参考探し」をされてることでしょう。
大変有意義な手段であり、そこからヒントを得ることは大切なことです。
ですが、感覚で選んだデザインは、最終的に担当者の思想とうまくマッチしない場合が多いと聞きます。
それは「オリジナル性の不足」や「コンセプトの相違」などが原因です。
今回の記事は「ぼんやりと表紙のイメージがあるけどハッキリと定まらない」そんな状況で、オリジナリティあるデザインをしたい方に向けた内容となっています。
早速プロセスを見ていきましょう。
表紙制作のプロセス
表紙制作工程は下記の進行をお勧めしています。
- 1.表紙制作は最終工程にする
- 2.テーマを決める
- 3.ベースカラーを決める
- 4.オブジェクトの考察
- 5.タイトルやコピーの考察
1.表紙は最後に作る
実践のプロセスと関連ありませんが、大切なことですので、あえて冒頭に挙げました。
あくまでもお勧めですが、表紙制作は「最終工程」にすると良いでしょう。理由は2つあります。
1.全体を見ると表紙も見えてくる
前述で「表紙は卒園アルバムが持つメッセージ性を集約したもの」と記しました。
担当者制でページごとにデザイン=風合いの異なる内容であっても、全ページを見事にコンセプトで揃えた内容であっても、全体を見渡すことで表紙のイメージが湧き上がることが十分に考えられます。
完成原稿を眺めてると、制作に携わる苦心の連続の日々を思い起こすことでしょう。
そして、イメージを膨らます要領も自然と身につき、デザインするというハードルも下がることから、表紙制作の意欲や創造性も悩むことなく浮かび上がると思われます。
反対に全く本文ページの制作がされておらず、表紙を作ろうとすると、経験値があまり無いことと、イメージする基(作り上げた原稿)がないことから、具体的なデザインを考察することが難しい状況に陥るのです。
2.年長期の成長
進級時の年長児の姿と、翌年3月の姿を比較すると、著しい成長に思わず見入ることがあります。
仮に表紙を「写真」で構成すると思案した場合、進級時期の写真を使用するのと、在園時における成長の頂点時期と、どちらが良いでしょうか。
恐らく最も成長した姿を残したいと思われることでしょう。
このことから表紙制作を最終工程に位置づけ、創作への慣れや、成長ピーク時期の記録を活用して、ベストな内容にされることをお勧めする次第です。
2.テーマを決める
(表紙制作を最終工程とした場合)アルバム全体を見て、どんなイメージが浮かぶでしょうか。
ぼんやり眺めていると「かわいいなー」「うまく出来たな」「皆んな喜ぶだろうな」という感想に終始しがちですが、ここはあえて「どんなイメージが当てはまるだろうか」と無理矢理意識し、無理矢理テーマを決めるくらいのこじつけをしてみましょう。
例えばこんな感じです。
- 元気いっぱい
- みんな仲良し
- いつもにぎやか
- シンプル-すっきり
- 鮮やか
- 個性的
- どれも写真がきれい
思い当たる言葉を手当たり次第書き出し、控えておきます。
この後、ご自身でそのイメージから自由にデザインを膨らませるでも良いですし、検索サイトの「画像検索」にて「卒園アルバム|表紙」等のキーワードで検索結果を表示し、そのイメージにマッチした画像を参考にしてヒントを得るのも良いでしょう。
キッズドン!のサンプル表紙の場合
一例として、当社キッズドン!の表紙が出来上がるまでのプロセスを紹介します。
完成した本文ページが「写真点数控えめ」「整列デザインが中心」であったことから「シンプル」のイメージにしようと決めました。
できるかぎりシンプルに、すっきりと見やすく、アルバムを見る方々の心に刺さり、清潔感のある印象をテーマにしました。
イメージを具体化させるために次の掲載案を出しました。
- けがれのない純白ベース
- 写真は集合写真1点に絞る
- 短文の1行コピーにアルバムテーマを集約
掘り下げます。
- まっさらな純粋な気持ちで、未来にはばたいてもらいたい…という思いと、白は最も万人が好印象を持つカラーであることから、表紙のベースカラーを白にしました。
- 当初4枚コラージュや6枚コラージュも案に入れましたが、やはり伝えたいことは1点に絞るべきと判断し、より抜きの集合写真1点をセンターに載せ、インパクトを高めました。
- 本来卒園アルバムは「園児の向けた」ものですが、この保育園があったからこそ今の自分がある…という深い感謝の想いを表現しようと、「ありがとう ぼくたちわたしたちのキッズドン!ほいくえん」と1行のコピーを入れました。また、文字間隔を大きくあけることで、情緒的な雰囲気を出しました。
ちなみに、上に記した内容は本心であることに間違いありませんが、イメージを具体化させる経過では「かなりこじつけ」で思案したものです(笑)。
ですが、最終的にはそのこじつけは真意となり、仮にアルバムを見る方々に解説しても説得力のある内容となるものなのです。
3.ベースカラーを決める
前項で、キッズドン!サンプルの表紙カラーを「まっさらな純粋な気持ちで、未来にはばたいてもらいたい…」という意味あいから「白」にしたと記しました。
このように、書き出したイメージ、そこから波及したテーマから「連想されるカラー」を考えてみます。例えば…
- 周辺環境が緑に溢れてる→グリーン
- 園内施設の天井に青空がペイントされてる→スカイブルー
- 体を動かすことが園の方針→オレンジ
- 近隣に海がありお散歩コースだった→マリンブルー
- 園服のカラー→例:エンジ
- 周囲が自然に満ち溢れている→青-緑-茶-黄のアースカラーストライプ
などです。ここで思いつくカラーを表紙のデザインに反映させます。使用用途としては
- 表紙のベースカラー
- 写真を囲むフレーム
- タイトルやクレジットのカラー
- イラストのベースカラー
- イラストの線のカラー
などが挙げられます。
ほんの一部に使用するだけでも、アルバムのカラーやデザインに「意味合い」を持たせ、胸を張って「この色を選んだにはわけがある」と言い切れることが大切だと思います。
4.オブジェクトの考察
表紙に掲載するオブジェクト(モノ・要素・デザイン)は概ね次のカテゴリーが候補に挙がります。
- 写真
- イラスト系
- 文字系
- 創作系
一つづつ解説していきます。
写真
写真はどのカテゴリーよりもメッセージ性が明確であり、かつ最も「(いい意味で)無難」なオブジェクトと言えるでしょう。
- 集合写真1点
- 集合写真複数
- スナップランダムレイアウト
- 園舎・園庭・園内イメージ
- 個人別表紙での単体園児
いくつか掘り下げます。
集合写真の場合、シンプルに1点を大きめに掲載することをお勧めしますが、年少期と年長期を対比させて載せるなど、テーマが明確であれば複数でも全くありでしょう。
複数の場合は無駄な余白が生じないように「偶数」枚を選択すると良いでしょう。
後年にて卒園生の記憶に最も残っている「園のイメージ」は園舎の外観だと言います。
これを尊重して園舎の風景を表紙の載せるのも一考です。
ちなみにキッズドン!サンプルアルバムでは、裏表紙に「園のイメージ」を掲載しています。
もし成約業者が「一人づつ異なる個人別表紙」の制作に対応可能でしたら、この仕様のご検討を強くお勧めします。
キッズドン!の製本タイプ「ハードカバーフルフラットスタンダード」は「一人づつ異なる個人別表紙」が当初よ標準仕様となっており、大変人気のある表紙仕様でもあります。
腹部から上、または全身写真を、表紙全面印刷で掲載し、控えめにタイトルと年度クレジットを入れるデザインは、園児とその保護者様にとっては、唯一無二のオンリーワンアルバムになるでしょう。
そして裏表紙には集合写真をシンプルに掲載すれば、卒園アルバムの大義を果たす「喜ばれるアルバム」になります。
この個人別表紙に「思い出の作品」や「似顔絵」を掲載するケースもあります。
園に協力を願い、園生活のプログラム内に「表紙の絵を描く時間」を入れていただくことも少なくありません。
表紙に個人別の園児写真、裏表紙に「全園児の似顔絵」を掲載する体裁も人気です。
イラスト系
イラストを活用することで、オリジナリティ溢れる表紙にすることができます。例としては…
- イメージイラスト
- お散歩マップ
- 園児が描いた似顔絵
- 制作物(を撮影した写真)
- 園服をデフォルメして描画
- 年長で制作したチームTシャツの原画
などが挙げられます。
イラストは保護者の中にイラストレーターやデザイナー、そこまでいかずと絵が上手い方がいらっしゃれば、ご迷惑承知で依頼することが賢明ですが、不在の場合は「外注」という手段もあります。
ココナラ等に代表される「マッチングアウトソーシングサービス」。ワンコイン500円からスタートし安価な予算で、希望のクリエィティブを入手することができます。
例えば撮影した園舎の写真をココナラと契約してるデザイナーに「この写真を線画でざっくり描画できますか?できるとしてご予算は?」といった具合に問い合わせることもできます。
そのデザイナーの信頼度も数値化されており、クチコミも表示されてることから、オーダーは大変しやすく、お勧めです。
表紙から背表紙を横断し、裏表紙まで接続されてる「お散歩マップ」は圧巻です。
お散歩マップはまさに「保育園・幼稚園」に限定される行動であり、記憶をたどるアルバムの役割としてもその一助となります。
また、後年にアルバムを手に取り、このマップを見た時「地域遺産」の記録として見ることができるのが特徴です。
「この公園に今はマンションが立ってるね」「ここの裏道もう入れないけど景色良かったよね」などの今昔の比較もできる点で優れものです。
園のよっては、年長時期に「年長クラスのチームTシャツ」を制作することがあります。
園生活のプログラムの一環として先生主導で制作するもの、保護者の手によるデザインのものなど様々ですが、この原画を表紙に使用すると、誰もが納得する体裁となります。
Tシャツを広げた際の「縦横比率」が表紙の平均的な「縦横比率」と等しいことから無駄のないレイアウトができます。
そして何よりも「思い悩むことなく表紙が完成する」点が嬉しいところですね(笑)。
文字系
イラストや写真等を投入せず、文字だけでデザインを組む方法です。
単刀直入なメッセージ性を与えることができる「文字デザイン」はシンプルの極みとも言えます。
「少し寂しすぎやしないか?」という感想を持たれる恐れもありますが、次の工夫である程度制御できます。
- フォントをインパクト系にする
- フォントを極細系にする
- 文字間隔をあける(調整する)
- 一文字づつカラーを変える
- 太文字を使用して園舎の画像でシェイプする
写真やイラストを使用するデザインが思いつかない場合、この「文字のみ」も思案されると良いでしょう。
創作系
創作系とは「写真やイラストを素材にして、その組み合わせで表現する」デザインを示します。
- 顔写真がはめられた人数分の風船が舞い上がる
- 丸く切り抜かれた園児の写真を「木の実」に擬態化させる
- 空を走る機関車に乗る園児たち
- 虹の上に腰掛ける園児たち
- 園服をデフォルメしたイラスト
などが一例です。
風船や園服イラストは、Googleなどの「画像検索」でいくつも表示される、いわば「人気創作表紙」です。
が、「かわいい」「みんなこれにしてるから使おう」という感覚だけで採用することは、あまりお勧めできません。
今までも解説してきましたが、あくまでも「思い当たる自分たちが作った卒園アルバムのテーマ」と合うかを前提に決めることが大切だと思います。
留意しておきたい事として、創作系は人によって「好き嫌い」が生まれやすいという点です。
卒園アルバムの担当者に選任され、苦心の末に仕上げた表紙デザインに対し、とやかく言われたくありませんが(笑)、もしあなたが「評価を気にする」タイプでしたら気に留めておくべきでしょう。
自己満足に徹するか、自己と他者の満足を中和して考えるか、はたまた他者満足に徹するか…
個々のお考えとなりますが、苦労も時間も多く費やす「創作表紙」ですので、深く考えられてからの実行をお勧めします。
5.タイトルやコピーの考察
前項で「文字だけでデザイン」に触れましたが、写真やイラストでの構成であっても、タイトルや年度表記のクレジットは入れることでしょう。
メインタイトルは何にするか、コピーは入れるか…などを考えるわけですが、「短文であればあるほどメッセージ性が高まる」というセオリーがあります。
- おもいで
- たからばこ
- おともだち
- ありがとう
などが一例となります。また、創作系によく見られる「デザインの主張が強い」表紙の場合で、さらにタイトルやコピーに強い主張を持たすと、両者がけんかをしてメッセージ性がぼやけてしまう事があります。
制作されるタイプによって、文字内容を「引くか出すか」のバランスを検討してみてください。
忘れがちな裏表紙の検討
表紙と比較し「裏表紙」はその内容をあまり吟味されない傾向にあります。
または「裏表紙って何か検討する必要あるんですか?」という固定概念の方もいらっしゃり、正直重要視されていないのが現実です。
ですが、裏表紙は「アルバムの大切なエピローグ」。
裏表紙の雰囲気が良ければ、そのアルバムはさらに価値を高めることに違いありません。
そんな裏表紙をテーマにしたブログ記事がありますので、併せてご覧ください。
おわりに
今日は、卒園アルバムの顔とも言える「表紙」のデザインを決めるプロセス(工程)についてお話ししました。
表紙は外面印刷のため常にデザインが露出しています。それゆえに「いいものを作りたい」という強い思いがご担当者にはあるでしょう。
作り手としては「オリジナリティ」を出したいと思い描く一方で、アルバムを受け取る側は「シンプル」な体裁が良いと思う傾向にあります。
あれもこれもと「オブジェクト=情報」を詰め込むとメッセージ性が弱まり、いったいこの表紙は何を表現したいのか?という結果となってしまいます。
とは言え、卒園アルバム制作は「自由」が前提です。
色々と思い悩み、思いつく考えに足し算引き算を繰り返して、ぜひ素晴らしい表紙を作っていただければと思います。
最後に、以前「卒園アルバムの表紙」をテーマにしたブログ記事を2つ書きました。よろしければ併せてご覧ください。
今回も最後までご覧いただきありがとうございます。それでは、また。
キッズドン! 代表 宗川 玲子(そうかわ れいこ)
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