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2021.9.16
スマホ撮影の写真は卒園アルバムに使えますか?
こんにちは、キッズドン!ブログ担当の宗川 玲子(そうかわ れいこ)です。
卒園アルバムに掲載する写真を選定する際に「スマートフォン(スマホ)」カメラで撮影した写真が採用候補に上がることがあります。
昨今、撮影条件によっては、デジタル一眼レフに勝るとも劣らぬ精度で撮影結果をもたらすスマホカメラ。モニターで見る限りでは綺麗に撮れてるけど、こと印刷となると支障があるのでは?と自然な疑問が湧いてきます。
そこで本日は「スマホの写真を卒園アルバムに使用するための条件とは」を「デジタルカメラとスマホカメラの比較」を用いてご案内します。
目次
写真に最低限の解像度があれば印刷はできます
写りが良くとも悪くとも、お預かりした写真をそのままの形で印刷する条件は「ふさわしい画像解像度があるか」に尽きます。
この解像度が低いと、写りの良い写真は画質劣化となり、写りの悪い写真はさらに悪い見え方となります。たとえばこのような感じに…
「ふさわしい解像度」とは?
500万画素以上のカメラで最大ファイルサイズで撮影した写真であれば問題ありません。
所有のスマホカメラが何画素かは、取扱説明書かネット等で「使用スマホ名 カメラ 画素数」のワードで検索すれば、それを公開してるサイトが必ずみつかるはずです。
ちなみにここ2〜3年で販売されてるスマホであれば500万画素以上を持ち合わせています。(8年前に発売されたiphone4がちょうど500万画素でした)
注意いただきたい事としてアプリを使用しての撮影は「撮影画素数」を低下させます。大切な撮影はアプリを外しての撮影をおすすめします。
スマホカメラの設定は?
iphoneは撮影時における画質設定機能はありません。アンドロイドはカメラを起動しそこで数段階の記録サイズに変更出来るのが一般的です。
記録サイズ変更ができるようでしたら「最大値」に設定されることをおすすめします。
また、前項の「ご注意」にも書きましたが、ストレージ(本体の記憶媒体)容量を軽減しようと「アプリを通して写真撮影」を行うと高画素での撮影ができなくなり、使用不可のリスクが高まります。ここぞの撮影の際、SNOWやLINE等のアプリを通していないかを確認してください。
写真に最低限の解像度があれば印刷はできます
デジタルカメラとスマホの画素数を比較
それではスマホの画素数はデジタルカメラの性能と比較するとどの程度なのでしょうか。
下の図はデジタル一眼レフの入門機とされてる「Canon EOS Kiss4〜7」の画素に関する数値を一覧にしたものです。一眼レフには撮影画像サイズが数段階に設定することが出来ます。表はそのサイズ(S.M.L)ごとの数値となっています。
尚、最下段にApple社製「iPad-pro」のスペックを記載しています。この数値はiphone8と同様です。
簡単に数値の単位をご案内します。
ピクセル
画像の最小値が「1ピクセル」であり、この集合体にて画像を形成しています。パソコン上で写真を右クリックし、情報を見る(またはプロパティ)のウィンドウを開くと、このピクセル単位での写真サイズが表示されるはずです。
72dpi
画像解像度の単位で、撮影直後にカメラに記録されるのがこの数値になります。パソコンやモニターで閲覧する際の解像度がこの72dpiになります。
300dpi
印刷の際に必要な解像度になります。キッズドン!はお預かりした写真が72dpiの場合、これを300dpiにサイズ変更をします。サイズ変更し、掲載に不十分なサイズの場合(横幅平均150mm以下)は、差替え等のご相談をいたします。
上の図では最大ファイルサイズ(L)が1800万画素であり十分すぎるサイズです。ちなみにEOS Kiss8以降は2400万画素に上限が上がります。一眼以外に「コンパクトデジタルカメラ」や「ミラーレス」も今や2000万画素オーバーが当たり前です。
ちなみにこの表からお伝えしたいのは卒園アルバムに使用する写真は平均横幅150mm程度で300dpi以上の解像度を有すものという条件です。
上の表でこの条件を当てはめてみると「撮影サイズSサイズ」で十分ということになります。この表からはスマホの画素数が500万画素で有効であることも分かります。
どんな場面でもスマホ撮影で大丈夫?
500万画素のスマホカメラで撮影し「その結果」見た目もとても綺麗な写真であれば、卒園アルバムでの印刷結果は、ほぼ忠実に再現されます。
「すでに撮影された写真が使えることは分かった。では、これからもデジカメではなくスマホで撮影していいの?」という疑問が生まれます。
結論から申しますと全てのシーンにスマホカメラを使用するとと決め込むのは安直と思います。それはスマホカメラは得意-不得意が明確に分かれているからです。ここからはスマホが苦手とする内容や撮影の注意点を挙げていきます。
スマホカメラの苦手分野
ズームアップで撮影
最も苦手なのはズームです。一眼レフやコンデジは「光学式ズームレンズ」でズームを行うのに対し、スマホはデジタルズーム(原型で見えてるものを画面上で拡大する)方式のため、極端に画質が荒れます。
運動会や生活発表会など遠くからの撮影を余儀なくされる場合、どうしてもズーム撮影が必要となりますが、この場合はデジタルカメラにて望遠撮影することをおすすめします。裏を返すとスマホ撮影は「全景」「近景」「接近」ができるシーンに特化するべきと言えます。
光量の少ない環境での撮影
ここで言う光量とは、例えば「日陰」「夕暮れ」「かなりの曇天」も示します。人が視覚的に「まだまだ明るい」と感じてる環境でもスマホカメラにとっては不都合な条件となります。
下の写真は、アングルは違うこそ同じ環境で一眼レフとスマホで同時に撮影をしたものです。撮影条件は午後3時過ぎ:天候は晴れ:立地は四方が建物に囲まれており日陰
1枚目はCanon Eos kiss9i(デジタル一眼レフカメラ)2420万画素で撮影。
2枚目はiphone8 plus(スマートフォンカメラ)1200万画素
いかがでしょうか「おや?私もiphoneだけどもっと綺麗に撮れるんじゃない?」と思われた方も多いと思います。これは四方に光をふさぐものがあり、全体的に「カメラにとっては暗い」環境で撮影したことによります。
ちなみに一眼レフは画素数が高いこともさることながら、写された情報を処理する「イメージセンサー(人間に例えると眼球の網膜)」の性能が高く、高度な情報処理によって撮影が記録されることから、ナチュラルな写真に仕上ります。
下の写真は上のテストを行った時の別のものです。撮影はCanon Eos kiss9i(デジタル一眼レフカメラ)。独特のボカシ感を作れるのはもちろん、豊な表現になっています。
一方スマホカメラのイメージセンサーは、一眼レフの約1/6にあたるサイズのため、状況によっては情報処理が劣るのです。
従って光の少ない場面でのスマホの撮影は避けたほうが良いでしょう。運動会午後の部、室内で行われる生活発表会の光が十分で無いシーン、お泊まり保育の夜のシーンなどがそれにあたります。
下の図はiphone8で撮影。直上の一眼撮影を被写体の真正面から撮影した写真です。
特定の被写体にピントを合わした撮影
スマホのレンズ構造から、特定の被写体にピントを合わせ、背景をぼかして被写体を強調させることが困難です。
これを実現するには、相当被写体に近づき接写レベルでの撮影になります。ですが動き回る園児にこの撮影は不向きですよね。最近はiphone8-plusをはじめに、高解像度で「ぼかし」撮影が可能なスマホが出始めています。下の写真をご覧ください。
1枚目はCanon Eos kiss9i(デジタル一眼レフカメラ)で撮影。
2枚目はiphone8 plusで同時期同アングルからの撮影。
スマホのiphone8 Plusにはポートレートモードという「手前の被写体にピントを合わせ、背景をぼかす」機能がついています。
この撮影ですと画質はそれほど変わりありません。双方自然な色あいで仕上っています。これはスマホが手前の人物に情報処理を集中させてるためで、光量の少ない条件でもこの機能によって高精細な画を生み出すことが出来ます。
ただしスマホのこの機能は、一眼のように瞬時に構図や見せ方を決定できない事から、動く被写体の多い児童の撮影にはあまり適していないと言えます。
暗い室内での撮影影
写真比較最後の写真をご覧ください。1枚目はCanon Eos kiss9i(デジタル一眼レフカメラ)
2枚目はiphone8 plus。
2枚目の写真につき、一見ズームをした時に見られがちな「粗さ」を感じますが、これはズームをしていません。この撮影は室内で、ほんのり天井に灯るダウンライトのみの相当暗い環境で撮影しました。どちらもストロボやフラッシュは発光していません。
このように暗い場所での撮影になると極端にカメラ性能が劣るのが、スマホの特徴と言えます。
写真をトリミングするときの注意点
写真の一部分を使用するためトリミング処理を行うことがままあります。
スマホ撮影の写真をトリミングするとどのようになるのでしょうか。iphone8で撮影した下の画をご覧ください。
某テーマパークのパレード風景です。同様の写真がインスタグラムに大量にアップされる程、スマホ撮影に適した被写体といえます。天候は快晴。ズームアップやフィルター機能は使用していません。
撮影後のデータを印刷製本用の300dpiに変換すると「横幅341mm」となりB4サイズの用紙ほぼ同様となります。(前記の「画素数相関表」を参照ください)
次にフロートのステージ上にいる「キャラクター」を正方形でトリミングします。前述の通りアルバムに使用する平均写真サイズである横幅150mmでカットしてみると…
何か画質が劣化してる様な…
これは写真全体サイズに対し、トリミング対象(ミニーマウスとその周辺を正方形型で)のサイズが74mm×74mmであるのに対し、その2.5倍近い180mmでトリミングを行ったため、ピクセルが2.5倍拡大して画質が劣化したのです。
つまり全体としては十分な画像サイズがあるが、その写真をトリミングする場合、どの位のサイズで取ることができるのかを想定しておく必要があります。ちなみにこれはデジタルカメラ撮影でも全く同じ事が言えます。
その他スマホ撮影の注意点
スマホのモニターで見る写真の色彩と、実際の印刷結果は異なります。最後に色彩に関して気に留めておいていただきたい知識をご案内します。
グラデーション
どこまでも澄み渡る青い空、樹々の多彩な緑の階調、コントラストが強い場面での影の微妙なグラデーション…スマホで撮影したこのような「グラデーション(色の段階的変化)」はモニター上滑らかに見えますが、実際の印刷では「段階の境界」がやや発生することがあります。
フィルター処理された写真
ワンタッチで暖かい雰囲気や、ビビッドな色彩に仕立てる「プリセットフィルター」。アーティスティックな1枚を使用したい所ですが、印刷においてはこの再現が難しいことがあります。プレーン(通常撮影)での写真を使用した方がリスクは低いでしょう。
背景が顔の色と同系色
下の写真は茶系の扉前に園児が立つ構図ですが、このケースの際、印刷では若干肌色が濃いめに出力されることがあります。撮影の都度気にする事は出来ませんが、すでに撮影済の写真選択をモニタ上で行う際に、参考としてください。
スマホから大量写真を送信
一旦パソコンとスマホを同期させて写真を取り込む方法もありますが、これ以外に面倒ですよね。
スマホアプリ「SendAnywhere(センドエニウェア)」を使用すれば複数の画像を簡単に、そして素早く送受信できます。特集の記事がありますのでご参照ください。
おわりに
スマホカメラの苦手な条件をテーマに書き連ねてますので「やっぱスマホカメラはアルバムには向かないのか…」といった感覚になりがちですが、そんなことはありません。
繰り返しになりますが、すでに500万画素以上のスマホカメラで撮影後の写真でベストショットがあれば積極的に使用してください。
これからの撮影においては、前提として光がありズームを必要としないことが条件として、「色鮮やかなや自然の中での撮影」や「カラフルな造作物(例えば作品展)」など発色の良い色がある光景の撮影にスマホカメラは威力を発揮します。
安全であるのはデジタルカメラ撮影ですが、スマホも同時に使用し、表現力高い写真を残してアルバム使用にご検討ください。
最後までご覧いただきありがとうございます。それでは、また。
キッズドン! 代表 宗川 玲子(そうかわ れいこ)
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